内容説明
◆ふらんす堂電子書籍1000円シリーズ
第62回俳人協会賞受賞!
◆最新句集
「水泉動(しみずあたたかをふくむ)」。暦の中にこのことばを見つけたときなつかしくなった。新年が明けて大寒の少し前、寒さが最も厳しくなる頃の時候である。
私の生家は瀬戸内の石鎚山の登り口に近く、湧水を水源とする地にある。凍るような朝は蛇口を開け放って出し流した。水が温んでくるのを待って顔を洗うのだ。
七十二候を眺めるに多くがふとした気づきを誰かがつぶやいたようだ。なかでも玄冬の底に置かれたこの語の寧らかさにひかれる。いっそうの寒さがはじめて水の温みを気づかせる。(あとがきより)
◆作品紹介
雨太く楝の花に吹き込める
この夜を落葉の走る音ならむ
春風に背中ふくらみつつ行けり
烏瓜の花が黙つてついてくる
日の窓の一つかがやき初氷
末枯れて足あたたかに人の家
虎杖やひとり仕事の歌もなく
凍雲や生簀は声の散りやすく
靴下のちひさく乾く寒さかな
秋の水映画に長き掉尾あり
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
pirokichi
19
森賀まりさんの第三句集。2009年以降の作品から300句を収録。タイトルは七十二候の、新年が明けて大寒の少し前の時候である、水泉動(しみずあたたかをふくむ)より。あとがきにあるようにひらがなに開くと「その先の春を待つ心がより感じられる」。好きな句はたくさんあるが、今日のお気に入りは次のとおり。〈綿虫や豆腐は水を見つつ購ふ〉〈覗き見る炬燵の中や母の家〉〈さくらんぼ真赤な方をくれにけり〉〈空豆を人買ひをれば我も買ふ〉〈ライト兄弟のマフラーもかく靡きたる〉〈夏の蝶空に大波あるやうに〉〈夏蓬真白でもなき白を着る〉2022/07/03
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