ドキュメント 通貨失政 - 戦後最悪のインフレはなぜ起きたか

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ドキュメント 通貨失政 - 戦後最悪のインフレはなぜ起きたか

  • 著者名:西野智彦
  • 価格 ¥2,750(本体¥2,500)
  • 岩波書店(2023/02発売)
  • 2025→2026年!Kinoppy電子書籍・電子洋書全点ポイント30倍キャンペーン(~1/1)
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  • ISBN:9784000239035

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内容説明

ニクソン・ショックを端緒に,狂乱物価,円安,貿易赤字の「三重苦」に見舞われた日本経済.時の為政者や大蔵省や日銀のエリートはなぜ大混乱を防げなかったのか.当局者たちが残した膨大なオーラルヒストリーや私信,メモ等をもとに,近代経済史に残る一大事件の舞台裏を精緻に検証する.我々は半世紀前の失敗から何を学べるのか.

目次

はじめに
プロローグ 大臣のカミナリ
第1章 運命が変わった日
I
ニクソン・ショック、そのとき
何のことか分からなかった
ボルカーの発案、バーンズの抵抗
ハチの巣つつく大騒ぎ
隠密の切り上げ作戦
君子の果てなき討論
「鶴の一声」は出なかった
II
閉鎖できない切なる事情
外為取引、不測の停止
柏木特使の読み違い
「日本が良くなったと考えられないか」
フロート決断、日銀の抵抗
墨塗りされた大臣談話
第2章 スミソニアンへの難路
I
急ごしらえの売出手形
日銀理事、国会に呼ばれる
「何故そのとおりに書かない」
特別声明は簡素に柔らかく
ダーティか、それともクリーンか
比類なきエリート
II
コナリー台風と4つのオプション
宮殿から博物館へ
「おれは死にたくない」
まるでバナナのたたき売り
円高恐怖症と「郵政族」
食い逃げされた日銀
第3章 緩和、さらなる緩和
I
脆弱なるスミソニアン合意
1ドル=360円のミステリー
為替レートの尺度はいずこ
再切り上げは絶対阻止
「これ以上の対策は不要」
II
調整インフレは「禁じ手」か
かくも高き郵貯の壁
スミソニアン・レート揺らぐ
今太閤とアメリカの野望
進むのか、転舵するのか
第4章 失政と狂乱の果て
I
田中と佐々木の奇しき縁
立ちはだかる財政の論理
「上げるなら0・5%」
ボルカーの隠密来訪
テン・トゥ・テン・フォーミュラ
II
遅きに失した政策転換
2人のインフレファイター
思うに任せぬ引き締め効果
石油危機と蔵相の死
田中vs福田の大論争
人心不安と取り付け騒ぎ
物価は狂乱状態
佐々木退任、それぞれの総括
エピローグ ニクソン・ショック異聞

あとがき
主な参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

まーくん

82
金ドル交換停止を突如を発表した「ニクソン・ショック」から約半世紀。まだ学生であったが当時の事は良く憶えている。続いて起こった「オイル・ショック」を経て、日本経済は狂乱物価、円の暴落、貿易赤字の急拡大と大混乱に陥る。時の為政者、大蔵省、日銀のエリートは何を誤ったのか?当局者たちが残したオーラルヒストリーなどを読み解き検証する。通貨の交換比率が日々、変動する現在から見ると、どうして?と思うこともあるが、戦後長く続いた1ドル=360円という固定相場を死守という観念に憑りつかれ、自らの意志での「円切り上げ」⇒2023/05/30

koji

17
ニクソンショックからオイルショックまで、日本の転換点を舞台裏の証言録等をもとに構成したドキュメンタリー。著者は、当時の日銀の過剰流動性への金融政策対応の不味さを厳しく指摘しますが、列島改造まっしぐらの田中内閣、利権の温床寝業師の郵貯族が、こうも金融をかき乱しては、少し酷な感じがします。ただ「It's too late without doing anything.(打つ手が遅すぎて今となってはどうしようもない)」という日本の政策的弱点が、この時も致命的な失敗を引き起すのは、歴史は繰り返すの例えどおりですね2023/04/16

Kyo-to-read

4
速読本。現在のインフレに対する考察を深めようというコンセプトで読書。当時と今とでは、政治への忖度が金融政策の手足を縛っている点は類似しているが、経済成長が見込みがたい環境、日銀の弱体化が今起きている中でインフレに対峙しないといけない点が相違している。ただ当時は国際為替機軸の安定を放棄した米国への忖度というアップサイドの少ないゲームだったのに対して現在は自国に向き合えばよいという点では自分でゲームをコントロールする事もできるのにも拘らずなすがままになっている状況を見ると、よりやるせなさも感じてしまう。2024/02/11

takao

3
ふむ2024/05/27

chuji

3
久喜市立中央図書館の本。2022年12月初版。書き下ろし。半世紀前の経済譚。著書はTBSで報道関係のプロデューサーを務め、現在TBSホールディングス常勤監査役。関係ありませんが、オイラと同年生まれです。2023/02/24

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