綿の帝国 - グローバル資本主義はいかに生まれたか

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綿の帝国 - グローバル資本主義はいかに生まれたか

  • ISBN:9784314011952

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内容説明

綿の歴史は資本主義の歴史であり、
常に暴力と強制を伴っていた――

18世紀以降、綿産業の中心となった欧米の資本家と国家は、グローバルな綿のネットワークを形成、栽培のための労働力として奴隷貿易が定着するも、奴隷制廃止後には奴隷に代わる労働力の争奪戦が続き、現代の大手アパレルはコスト削減のため、国境を越えて工場を移している。

膨大な資料をもとに5000年、5大陸にわたる綿とそれにかかわる人々の歴史をたどり、今日私たちが直面している国家間・社会間の経済的不平等を含む現代世界の成り立ちを追究するとともに、国際協調のあり方についても示唆を与える、バンクロフト賞受賞作。

「傑作! グローバル資本主義の容赦ない拡大について新たな洞察を与えてくれる驚異的な成果」
――ニューヨーク・タイムズ

目次

グローバルな商品の誕生
戦争資本主義の構築
戦争資本主義の報酬
労働力の獲得、土地の征服
奴隷制の支配
産業資本主義の飛躍
工業労働者の動員
グローバルな綿業へ
戦争が世界中に波紋を広げる
グローバルな再建
破壊
新たな綿帝国主義
グローバル・サウスの復活
エピローグ―織り地と織り糸

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

skunk_c

80
これは絶品だ。大部の本だが読む手が止まらない。綿という最強の天然繊維と、それによって生み出される生活必需品の重要性は言を俟たないが、この生産がまさに資本主義を発展させた。というか資本主義そのものといってもいい。したがって本書は「綿」という商品を通じた資本主義史だ。強制と暴力をともなう「戦争資本主義」と、自由を建前とする「産業資本主義」という概念を用いながらそれらが相互に絡み合っていく。現在の綿生産の中心はアジアで、結局欧米の時代は200年程度。元に戻ったわけだが、このあたりの論じ方が本書の白眉と思う。2023/05/28

BLACK無糖好き

25
原著は2014年刊。綿製品に関わる各アクターの興亡と同時に、グローバル資本主義の構築と再構築の物語をダイナミックに描いている。強制と暴力、とりわけ奴隷制、植民地主義、強制労働が資本主義の歴史の中心にあること。また、資本家が特定の国民国家から自由になれるという事実も本書の重要な論点であろうか。調査はすべての大陸に及んだとのこと。世界中の公文書館資料の精査に関わった多くの研究助手。研究に必要な資金提供。世界に広がるネットワーク。本書のテーマ同様、何から何までスケールが大きい。2023/12/23

川越読書旅団

25
「綿(コットン)」の歴史は資本主義の歴史であり、常に暴力と強制を伴っていた」帯コメントより。膨大な資料を介して、綿(コットン)の出現による強大なる経済の仕組み=グルーバル資本主義が構築される様を描き出す800超頁の大作。綿(コットン)の歴史を知らず、現代世界経済を語るべからず!!2023/07/15

MUNEKAZ

20
綿製品を通して、グローバル資本主義の隆盛を描いた大著。西欧列強による奴隷制と植民地支配の体制を「戦争資本主義」と呼び、外地での戦争資本主義と国内での産業資本主義の住み分けを説くあたりは面白い。またアメリカはその広大な国内のフロンティアを開拓することで、二つの資本主義を国内で併存させ急成長を遂げるが、南北戦争で破綻する。近現代に入り労働力の圧倒的な安さから、収奪される側であったグローバル・サウス諸国が盛り返し、「綿の帝国」は新局面を迎える。奴隷制、賃金労働を問わずその強制性を強調しているのが印象に残る。2023/04/28

人生ゴルディアス

14
圧巻。当時大規模に生産された作物の中で、どうして綿だけが産業革命=工業化の主役たり得たのか?またなぜ英国以外では工業化の出だしが遅れたのか?しかも当時、英国は原料の綿を生産しないどころか、品質でも量でも価格でもインド産綿織物にまったく対抗できなかったというのに……というもの。野蛮な東インド会社の収奪や、アメリカの奴隷制から、資本主義によるマイルドな労働強制に至るまでの軌跡を、綿産業を軸に探る本書は素晴らしいの一言。資本主義とは労働力の管理に尽きると喝破し、奴隷を打つ鞭から国家による法の支配への変遷を辿る2023/05/16

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