内容説明
【最新研究から見えてきた精神疾患のしくみと治癒への道筋】
・うつ病の脳では炎症が起きている?
・遺伝要因と環境要因、どちらの影響が強いのか
・統合失調症の幻覚は、脳の神経回路の配線障害が原因?
・ロボットが、自閉スペクトラム症の患者を支援する
・ゲノムの中を飛び回る遺伝因子が統合失調症を引き起こす?
・認知症薬でPTSDのトラウマ記憶を消せるかもしれない
・精神疾患の根治薬の開発を実現するには ……など
うつ病、自閉スペクトラム症・ADHDなどの発達障害、PTSD、統合失調症、双極性障害……
多くの現代人を苦しめる「心の病」は、脳のちょっとした変化から生まれます。
誰にでも起こりうるこの病は、何が原因で、
どのようなメカニズムで生じるのでしょうか?
さまざまな角度から精神疾患の解明に挑む研究者たちが、研究の最前線をわかりやすく解説。
そのしくみから、「治る病」にするための道筋まで。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
119
科研「マルチスケール精神病態の構成的理解」の研究グループの脳科学研究を12章に分け、それぞれのリーダーが基礎から理解できるように紹介している。精神疾患の原因の多くが脳に由来すると考えられているが、神経病理学的に異常は見られず、永らく謎とされてきたが、シナプスの不具合が原因と推測されている。その手法は、光遺伝学、コネクトーム、脳内炎症、ゲノム変異、転移因子LINE-1など多くのアプローチが見られるようになった。神経変性疾患が治る時代が始まったと言われる2010年代、精神疾患も解明される日も近いのだろうか。2023/03/18
ゆいまある
110
最新の脳科学から精神疾患を理解し、新たな治療法を模索する試み。最先端の研究者に科学ライターがインタビューしてまとめているので難解な内容も平易な文章で書かれており理解しやすい。今のところ精神科医が症状から曖昧につけている診断名だが(実感として、医学ぽくなくて嫌だ)、ゲノム解析と画像のビッグデータを使って新たな診断を行い、遺伝子解析からオーダーメイドの薬物療法に結び付ける試みや、自閉スペクトラムの脳内で何が起こっているかなど。20年後には全く新しい疾病分類や治療法が出ていそう。読み返したい。2023/04/27
けんとまん1007
58
「心」「精神」ということを、上手く表現できない自分がいる。その言葉がつく病についても、まだまだ未解明な部分が多いと思っている。その一方で、人体というところから起因するものであるとも思っている。その分野の研究に限らないが、現在進行形で少しずつ前に進んでいるのがわかる。書かれいることが理解できる部分は、そう多くないが、改めて人間というものの不思議さを考得ざるをえない。2025/05/27
チャーリブ
43
公立小中学校の通常学級で発達障害の疑いのある児童生徒は8.8%、1クラスにその傾向の人が3〜4人はいる計算となります。従来は「心の病」と考えられていた発達障害や精神疾患ですが近年は脳科学の知識や技法が病気の治療や原因の分析に使われているとのこと。興味深かったのは、ASD(自閉スペクトラム症)の子どもは人間よりもロボットのほうがコミュニケーションを取りやすいという話。ひょっとして彼らのほうが未来適応的かもしれませんね。「パーフェクト・デイズ」の主人公を思い出しました。2024/02/14
岡本 正行
39
また読みたい。図書館で借りて詠んだが、そのうち自分で購入して読みたいと思う。内容的に、なるほどそうだったのかということもあった。特に、私には心の病を持つ娘がいる。主治医も、この病気は治らないと断言している。精神疾患が物理的な疾病であれば、手術や投薬によって治るはずではないか、医学の限界であろう。それは医学の進歩を待つしかない。私たち親子の生きている間には無理、他の病気でもそうだろう。その一端を理解させてくれるいい本であったことは確かであると思います。今頃、仮に治癒しても、普通の人間にはなれない哀しさも。2023/07/22
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