内容説明
かたや哲学者であり武道家、かたやアフリカ・マリ出身の元大学学長。2人の個性派教育者による、自由すぎるアドバイスとメッセージ。曰く、「管理から逃れて創造的であるために、もっと“だらだら”しよう」「“ゲリラ的”な仕掛けで、異質なもの同士の化学反応を生み出そう」「将来は“なんとなく”決めるべし」「“なんでやねん!”とツッコミを入れて、自らの中に問を立てよ」等々。若い人たちが「大化け」するためのアドバイスとメッセージを、コロナ禍の教育現場から発信。かくも窮屈で不自由な世界を、君たちはどう生くべきか? 京都精華大学で行われた人気講義「自由論」をもとに、新規に語り下ろした対談などを加えて構成。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けんとまん1007
58
自由と平等は相容れない。ここに立脚すると、見えてくるものがある。そこに友愛が加わる意味も、なるほどと思う。ゲリラ的な学びのすすめという副題が、とてもいい。イノベーションとか起業とかを大学・学生に勧めることを、管理しようとしている、このナンセンスさ。そこからは、形だけのものしか生まれないと思っている。また、泥船の話は100%同感!まさに、今、自分が地域で取り組んでいることの指向性とピッタリ。そんな自分自身の感性を、確かめることのできる1冊。2023/07/03
Tenouji
28
どちらが後か先かわからないけど、好奇心と「これとこれは実は似ている」と発見する喜び。そう、私もそのドライブ感を求めて仕事をしている一人ですw。管理され過ぎた職場には、それがほとんど感じられない(個々の感情の裏に隠れているけど)。いろんな人が集まっていて、それでいて根底には秩序が感じられるような組織(連想力によって人がつながる)が理想ですが、少なくなってきたというか、昔あった場所には、もうないのかも。ある意味、内田先生節、全開の内容で、感動しながら読ませていただきました。2023/02/18
活字スキー
27
内田先生のことは著書をいくつか読んでいるのである程度存じ上げているけど、ウスビ・サコ先生の方は「京都精華大学の学長がなんでアフリカ人?」という認識しか無かったので、その人柄を知るきっかけになればと思い読んでみた。主なテーマとなる教育に留まらず、政治、経済、日本の現状と先行きはやはり相当に厳しい。だからと言って悲観や諦観ばかりもしていられないのだけれど、つくづく楽観主義には強い意志を要するものだと思い知らされる。自由は尊い。だからこそ、その扱いは難しい。 2023/03/10
りょうみや
25
著者二人とも何冊か読んだことがあったので手に取った。内田氏が8割、サコ氏が2割の印象。一個人としての自由論、すなわち世間の評価軸に囚われすぎないことや、大学の組織・自治論の話が混ざっている。副題にあるゲリラ的な学びは、将来(大学の専攻)は「なんとなく」で決めるべしと語られている。大学はカリキュラム以外の学びが大事だし、将来何が役に立つか分からないものだから。大学の研究も特定な領域を重点化してもそれがどうなるか分からない。創造は予期しなかった化学反応だということ。2023/10/14
tokko
24
京都精華大学の学長をされていたんですか、サコ先生は寡聞にして存じませんでしたが、とても面白い先生ですね。本当に「創造」を管理することってナンセンスだと思います。学校における学びもある種の創造的活動だと思っていますが、工程表を作って管理してもまぁ無駄でしょう。上位下達を理想とする組織が作りたいのかもしれませんが、もっと現場に裁量があってもいいのではないでしょうか。2023/02/28