内容説明
彼氏よりソファの肌触りを愛する女性。身体から出た美しい石を交わし合う恋人たち。憧れ、執着、およそ恋に似た感情が幻想を呼び起こし、世界の色さえ変容させる――イギリスの老舗文芸誌「GRANTA」に掲載された「ふるえる」から、単行本初収録となるR-18文学賞受賞作までを網羅。著者の原点にして頂点の作品集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
304
彩瀬 まるは、新作をコンスタントに読んでいる作家です。本書は、フェティシュ恋愛短篇集でした。オススメは『なめらかなくぼみ』&『二十三センチの祝福』です。 https://www.shinchosha.co.jp/book/331965/2023/06/14
fwhd8325
183
どの作品もとても艶めかしいのだが、まとわりつく感じではなく、さらっとしている。脳を刺激するような音楽が聞こえます。とても官能的で素敵な時間です。2023/06/26
しんたろー
173
初期作も含めた6作の短編集…妖しく優しいファンタジーが散りばめられ、悲哀・慕情・色気が程よいバランスで少ないページに凝縮されている。この要素がデビュー作から色濃くあったのは知らなかったので「なるほどね~」という想い。日常生活の些細な、でも大切な感情を上手に言葉にするのも彩瀬さんの真骨頂とも言えるし、詩的な響きに感じる部分を読み返すのも楽しい。『マイ、マイマイ』と『ふるえる』の「伝わらない気持ちのもどかしさ」は青春時代を振り返り、懐かしくもあった。『花に眩む』の受賞は、その後の活躍が納得できる内容に思えた。2023/05/27
のぶ
172
本作には六つの短編が収められているが、どれも純文学的な雰囲気が漂って、自分には取っ付きにくかった。どの作品も女性が主人公になっていて女性の視点で、主に主人公が交際した男性との触れ合いを描いているが、どうも文章が心に響いてこない。おそらく自分の読解力の問題だろう。賞を受賞したという「花に眩む」は彩瀬さんのデビュー作だったのですね。その他の話は2020年前後に発表されたものだが、10年経過しても心理的な表現はそんなに変わっていない。彩瀬さんの本は十冊目だが、本作ほど分かりづらかったのは初めてだった。2023/04/07
nonpono
164
「女による女のためのR-18文学賞」受賞作「花に眩む」を所収と聞き初めて手にとる。6篇の短編集。不思議だが魅力ある著者の名前と同様、不思議だが何かが冷たく残酷な世界観を放っている。わたしは「二十三センチの祝福」が好きだし物語としてわかりやすく読めた。「あなたにもらった靴の、お葬式をしました。」靴を見ればその人がわかるというが靴の持つエロティシズムを意識せざるを得なかった。手間をかければ安く修理できる靴、グラビアアイドルでくすぶる女と離婚して何もかも失った男の、両者の欠落が甘くて寄り添うようで。見事な世界。2023/06/23




