内容説明
講談社エッセイ賞受賞の名著、待望の文庫化!
地球を宇宙から見つめるように日本語を遠くから捉えて解き明かす、
そんな視点を、著者は常に持っている。
「外人力」とでも呼ぶべきか。
一方、日本語の中へ分け入り、奥まで掘り下げ、
そこで初めて見える世界もあり、本書にはそれが度々表われる。
著者の「探検力」の成果だ。
新星の画家ねっこかなこの挿し絵でも、
遠くの不思議と近くの仲間の奇妙さが張り合い、共鳴している。
さらに一青窈のとびきり鮮やかな解説も加わり、
いよいよ本質が炙り出される。
イビキとクシャミと七面鳥に耳を澄ませば、
誰でも詩人といっしょに言語宇宙を旅できる、
「ぽこり装置」の完成だ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
60
詩人の目・耳から感じた日本語論エッセイが、抜群におもしろい。最初から日本語で書かれているが、そのことばの感覚は、なぜかアメリカと日本の湿度のちがいをも描いているように思えるから不思議。これを読むと、日本人の書く日本語エッセイがみんな等質というか、同じに見えるほどだった。両方のことばに通じているということは、翻訳の質にも敏感になれるということらしく、世の中にはニュアンスがうまく表現できていない、あるいははっきり誤訳であるような翻訳があふれていることが伝わってくる。ユーモアと笑いにあふれていて楽しかった。2023/05/12
優希
50
面白かったです。日本語を遠くから解き明かす視点が新鮮でした。外国人が日本語の中に入り込むからこそ見えてくるものがありますね。言葉の世界を旅したような気分になりました。2023/04/08
Karl Heintz Schneider
9
私には合わなかった。無念だが、最後まで読み切る気がせず、4分の1読んで返却。2023/07/17
しゅー
7
★★★「ジャケ買い」ではないけれど見た瞬間に迷わず買ってしまう本があるものだ。しかも、そういう本に限ってハズレは少ない。本書もそんな一冊であった。米国人から見た日本?英語と日本語の違いに関する語学ネタ?みたいな予想をしながら読み始める。第一部こそ、そんな雰囲気も感じられたが、読み進めるにつれて著者の国籍など、どうでもよくなってくる。そして、知性というのは、物知りなことでも誰かを論破することでもなく、「本気で探し、すべてを注ぎこみ、探求をやめない」ことだと気づく。子熊秀雄の『大波小波』を読んでみたくなった。2023/02/26
カノープス
3
初読み作家。アメリカ生まれアメリカ育ちの人が自ら日本語で書いたものというのは、あまり読んだ記憶がない。翻訳者を通さない本人から発せられる言葉に非常に興味があった。比較文化論、日本語の観察者としての気づきは一定の水準を保証する面白さだが、個人的には少年時代の記述が一番印象に残った。【ハロウィンの恐怖】における考察は興味深い。2023/03/27