内容説明
時空を超えて必ず出会う運命だった。
光二は、ロケット発射台のある南の島で育った高校生。いつか自分もロケットの研究をしたいと勉強に勤しむ一方、密かに同級生の長谷川葵に思いを寄せていた。
平沼は、仙台の大学の時空間の研究室で教授をしていた。過去を一切語らない彼を、周囲は不思議に思う。33歳の平沼を教授に抜擢したのは、齢90近くと噂される井神前教授だ。二人の間には誰にも言えない秘密があった。
別の人生を生きていると思っていたあらゆる人物達が一本の線上に連なる。時空を超えても人は出会うべき人と出会うようにできている。運命を信じたくなる物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
134
『人と人の出会いは奇跡のように見えて最初から決められているのかもしれない』。『南の島』で育った主人公の光二が目の前で大切な人を失い『時空間の研究』に邁進していく先にまさかの『タイムマシン』に乗り込んだ結果論の世界が物語を作り上げていくこの作品。そこには斬新な”タイムスリップもの”の世界が描かれていました。畑野さんの緻密な物語設計に読む手を止められなくなるこの作品。そんな中に畑野さんが得意とされる”恋愛もの”の要素も光るこの作品。“タイムスリップもの”はやっぱり面白い!改めてそう感じさせてくれた傑作でした!2023/09/12
アッシュ姉
73
「時空を超えても人は出会うべき人と出会うようにできている。運命を信じたくなる物語。」やっと読めてよかった。何度も胸が詰まり目頭が熱くなった。あの人にはあんな過去が!この人にこんな背景があったのかと驚けるので、これ絶対二冊セットで読まなきゃ勿体ない(集英社へ怨み節)。タイムマシンを使って過去をやり直してハッピーエンドと簡単にはいかないところが面白い。まさにタイトルどおり『タイムマシンでは、行けない明日』だ。読み終わると『ふたつの星とタイムマシン』を読み返したくなるループ本!2023/11/22
saga
58
最後に題名とカバー絵が沁みる! 宇宙工学を目指す高校生の光二は、好きな女子に告白できないまま目の前で彼女を失う。そして、同じ物理の分野でもタイムトラベルを研究する大学へ進学し、そこで本物のタイムマシンに出会うのだが……失った彼女を想い続け、過去を変えることを厭わない彼は、周りの人間の想いには気付けず、時空の歪みを引き起こして別の人生を歩まざるを得なくなった。恋愛を含めた人間関係に執着しない彼の軽妙な会話も、この物語を楽しむポイントだ。科学技術の進歩が人類を不幸にするかもしれないという寓意も込められている。2023/10/22
スカラベ
57
亡くなった人を救うため、タイムマシンに乗って過去へ。しかし、行ってみると何故か亡くなったのは自分。過去の自分を殺すと未来の自分も消えたり、救えるまで何度もタイムトラベルを繰り返したりするのが定番だけど、戻った世界で過去にはいない自分として居残り続けるっていうストーリーは斬新だった。パラレルワールドが幾重にも存在し、それを踏まえての設定は綿密に考えられている。ラストに登場する人物の正体で最初の謎が明らかになるところもうまく伏線回収されている。世界は違っても運命の人には必ず出会うことができるんだろうな。2023/04/06
セシルの夕陽
48
ラストは鳥肌が立った😳 そうきたか! ペア(対)小説の2冊目。こちらを先に読んだ読み友さんの方が多いようだが、刊行順に本書を後に読んだ。短篇集の「ふたつの星…」のバラバラのピースが、本書でひとつにまとまり世界が繋がった観覚に浸れた。時空は一本の線ではなく、何通りも並行している…パラレルワールドの話は他小説やドラマでも題材になっているが、とても良く構成されている。親の気持ちを思うと苦しくて堪らなくなった。どんな世界でも、出会うべき人、影響を受ける人とは巡り会う♡ どの世界でもみんな幸せを感じてほしい🥹2025/04/24
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