内容説明
長編映画『タゴール・ソングス』と短編映画『三溪の影』監督、エッセイ集『タゴール・ソングス』執筆、その他、タゴールとベンガル語・バングラデシュ文化にまつわるいろいろな分野で活躍する気鋭のベンガル文化紹介者・佐々木美佳。浄土真宗の根付いた福井で育ち、仏教への興味から東京外国語大学でヒンディー語を学び、合間に学んだベンガル語でタゴールと出会って映画を撮るためインドとバングラデシュに赴いた彼女が、ベンガルの言葉、食べ物、音楽、歴史、文化について自身の体験と綿密な取材をもとに綴る、愉快で真面目なベンガルエッセイ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
チェアー
8
言葉を学ぶ、言葉を知るということは、単に意思疎通ができる手段を得るだけではなく、そこの土地に生きてきた人々と自分が少しずつ混然としていくこと。知らないうちに相手の言葉で考えるようになり、自分の頭で考えたことなのか、相手の頭なのか分からなくなっていくこと。それが、言葉を知るということなんだな。2023/08/19
yoooko07
1
それでも私たちは変化の一滴となり、それぞれの世界で行動することができる(p108)平和なかたちで他者同士が出会える土台(p163)「バイリンガル」というと、例えば日本語と英語が、別々の箱の中に入っていて、両者が完全に別々に存在している状態をあらわしている。しかし、「トランスランゲージング」の概念は、言語間に明確な仕切りがなく、ひとつの箱の中に言語リソースが一緒にまとめられている状態をしめす(中略)。そのおおらかさは、南アジアで広く共有されている「ジュガール」という概念と似ているなとも思う(p177)2024/04/10
あきこ
1
このベンガル人という感覚が難しい。インド人じゃダメなのか。タゴールの魂はベンガルという場所が大切なのか。インドの多言語と州による文化の違い、イギリス統治の歴史など色々知らないことばかりであった。しかし知らなかったことに気づけたので、そこは前進である。来月インド旅行に行くが、この作者にお会いできるらしい。本当は映画「タゴールソングス」も観ておきたい。2023/10/17
🍋
0
良かったドキュメンタリー映画の監督さんのエッセイ 大事に読んだ 文化の文化の狭間にいること、苦しくも愛おしく果てしなく… すてきだ たくさんのものに触れたい2025/01/06
kokekko
0
「タゴール・ソングス」の作者の本。読むのは二冊目。もう少しタゴールのことにフォーカスした内容になるかと思っていたが、今回は旅の記録、旅の心得など、もっとライトな内容のエッセイだった。でもこれでベンガルやタゴールのことを知る人が増えたらいいな。とても好きな詩人だ。2024/07/09