内容説明
釈尊以来の「私が仏になる」という仏教の教えを、「仏が私を救う」へと大きく転換させた法然。
親鸞は、師法然の他力思想に帰依しながらも、自らの罪業を凝視して「私だけは救われまい…」と絶望する。
「救いと絶望の同居」という矛盾を抱え続けた親鸞の多数の著作から、その思想の核心と人物像の魅力を読み解く。気鋭の比較宗教学研究者であり浄土真宗の僧侶でもある著者による、中級向けの親鸞思想解説書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
晩鳥
2
浄土仏教とは何か、親鸞の生涯、親鸞の思想の特性などについて書かれている。親鸞は偉大な宗教家であるが、他力思想に帰依しながらも「私だけは救われまい」と絶望する「救いと絶望の同居」という矛盾を抱え続けた姿は、親鸞も一人の人間であったと感じた。親鸞の思想部分は難しかったが、浄土教とは何か?という話は分かりやすかった。2022/02/19
聲
1
「中級者への第一歩」というコンセプトだけあって、親鸞の勉強をひととおりしていないとほとんど読めないと思う。それだけに、読み応えがあって、と同時に読みやすくて、ふむふむと言いながら読んでいた。適度に知的刺激がある。著者の語りの巧みさには毎回感心する。2023/06/04