内容説明
ゴータマ・ブッダが説いた「縁起」の思想を、「空」という概念でもって再定義した龍樹(ナーガールジュナ)。
本書では、その生涯や主要著作を紹介するとともに、龍樹がブッダの教えを正しく継承しながら、「菩薩」として衆生の救済のために独自の論理と法――「中道」と「空」を提唱したことを詳述する。
龍樹の思想的独創性が掴める一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちぃ
6
菩薩行を行いたいと感じました。2023/05/23
すな
1
空の思想は解説を見てもわかるようでわからない、ということで龍樹の入門として。唯識から遡る形で読み進めたけど、仏教は論理が複雑極まり、哲学の常で体系的に理解して進めていかないとおそらく言葉を理解してる気分になってるだけなのだろうなと改めて…。2023/12/20
晩鳥
1
龍樹はブッダ以後に仏教に最も影響を与えたとされる人物。ブッダの仏教では強調されなかった「空」について確立した思想家。「空」の思想は龍樹のオリジナルではなく、仏教のなかに元々説かれている。なるほど「空」というのは、「有る」でもなく、「無い」でもないのだなと言うことは簡単だが、「空」についてきちんと理解するのは難しい。2022/01/14
angelooo7
0
著者も言っている通り、かなり龍樹についてヨイショしている。それを、考慮しても、龍樹解説本の中では、群を抜いて分かりやすい。が、、やはり、著者の個人的な好みが色濃く(学者的な根拠としては十分なものがあるが)、一般的な龍樹解釈とは違うことを理解しておくべきであろう。2012/08/21
RX93
0
ブッダの縁起の論理を敷衍して、中道という論理と、空という法を導く。「Aである」とか「Aでない」と言うことは、いずれにせよその有り様を"固定"してしまうこと。それは縁起(変化)の論理に合わない。縁起を踏まえると「Aである」でも「Aでない」でもない。それが中道という論理であり、そこから導かれる法が空。そもそも言葉自体、世界を分節して意味を"固定"的に与えるもの。縁起(変化)の観点からはNG。 そうした言葉が絶ち消え、あるでもないでもない真の世界が戯論寂滅。ただし、衆生を救うため「執って仮説」して存在を語る。2023/10/09