内容説明
ゴータマ・ブッダが説いた「縁起」の思想を、「空」という概念でもって再定義した龍樹(ナーガールジュナ)。
本書では、その生涯や主要著作を紹介するとともに、龍樹がブッダの教えを正しく継承しながら、「菩薩」として衆生の救済のために独自の論理と法――「中道」と「空」を提唱したことを詳述する。
龍樹の思想的独創性が掴める一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちぃ。
7
菩薩行を行いたいと感じました。2023/05/23
マウンテンゴリラ
4
龍樹と言えば、釈迦と並ぶ、或いはそれに次ぐ仏教史における巨人であるという理解は変わらないが、両者の思想的関係性がより近くかんじられた。釈迦が唱えた根源仏教からの隔たりとしてでは無く、発展的継承という意味で捉えてこそ、大乗仏教の価値のみならず、仏教全体の価値がより尊いものに感じられた。両者の共通点としての中観を媒介にして、時代を隔てて、人生の掟としての無常から世界観としての空性へと展開されたと見れば、小乗、大乗といった分類やましてや対立するものとしての見方こそが、牽強付会であると感じられた。しかし、→(2)2024/07/29
陽之理
2
菩薩ってなんだかよく知らなかったが、ブッダとの違いがわかってよかった。空についてはまた読み返したい。2024/08/22
すな
1
空の思想は解説を見てもわかるようでわからない、ということで龍樹の入門として。唯識から遡る形で読み進めたけど、仏教は論理が複雑極まり、哲学の常で体系的に理解して進めていかないとおそらく言葉を理解してる気分になってるだけなのだろうなと改めて…。2023/12/20
RX93
1
ブッダの縁起の論理を敷衍して、中道という論理と、空という法を導く。「Aである」とか「Aでない」と言うことは、いずれにせよその有り様を"固定"してしまうこと。それは縁起(変化)の論理に合わない。縁起を踏まえると「Aである」でも「Aでない」でもない。それが中道という論理であり、そこから導かれる法が空。そもそも言葉自体、世界を分節して意味を"固定"的に与えるもの。縁起(変化)の観点からはNG。 そうした言葉が絶ち消え、あるでもないでもない真の世界が戯論寂滅。ただし、衆生を救うため「執って仮説」して存在を語る。2023/10/09