内容説明
「地獄というものも、これほどひどくはないだろう」――
その日、山に、村に、何が起こったのか? 史料と発掘調査で甦る、埋もれた歴史の真実!
天明三(一七八三)年旧暦七月、浅間山は空前絶後の大爆発を起こす。大地は鳴動し、黒煙は天を覆い、火砕流・溶岩流が麓の村々を焼き尽くし埋め尽くした。この未曽有の事態に、人々はいかに対したのか。史料と埋没集落・鎌原村の発掘調査から、当時の村の社会状況、噴火の被害の実態、そして人々が生きた現実を再現する、驚天動地の歴史ドキュメント!
[目次]
第一章 近世の埋没集落
第二章 天明三年の大噴火
第三章 浅間大噴火の被害
第四章 浅間大噴火の影響
第五章 浅間山鎌原村
第六章 鎌原村の発掘
「天明三年の悲劇の日、人々はわれ先にと必死になって観音堂めがけて駆けつけたはずである。もちろん無事駆け上がった人もあるが、いま一歩というところで、背後からおしよせた火砕流に呑まれた人もあるはずである。この埋った石段のどこかにそんな人がいるのではないか……。」――「第六章 鎌原村の発掘」より
目次
はじめに
第一章 近世の埋没集落
第二章 天明三年の大噴火
第三章 浅間大噴火の被害
第四章 浅間大噴火の影響
第五章 浅間山鎌原村
第六章 鎌原村の発掘
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
112
学生時代に浅間山麓の鬼押出しを見学したが、鎌原村での発掘調査で人骨が発見されたニュースは覚えていたため、自然の圧倒的な力の前に人など無力だと思い知らされた。民間の被害のみならず天明の大飢饉で田沼意次を失脚させるなど、日本の歴史にも大きな影響を与えた浅間山大噴火の巨大さを改めて痛感させられる。奇跡的に生き残った村人による復旧やその後の伝承、20世紀に行われた調査チームの作業状況などは、報道で断片的に知るだけでは窺い知れない歴史の襞を明らかにする。歴史上の出来事について総合的に知ることの大切さを教えてくれる。2023/04/15
Kau
23
天明3年7月の浅間山大噴火の調査記録。特に大噴火によってもたらされた天明の大飢饉の描写は悲惨なものがある。また、浅間山の噴火で気温が下がりそれがヨーロッパで作物の不作をもたらしてフランス革命の要因になったとか意外であった。2023/12/02
JADE
17
ポンペイ遺跡には2回行ったし、ベスビオ火山の噴火口を覗き込んだこともある。浅間山は登ってないけど、なじみ深い山。天明3年の浅間山大噴火、火山学者が書いた本はいくつか読んだけど、歴史学者が書いた本は初めて読んだ。豊富な資料(杉田玄白も登場)を基に、大災害を被った人々の暮らしや社会の混乱を詳しく紹介してくれてる。火砕流が吾妻川を堰き止め、決壊し、大土石流となって、江戸近郊まで犠牲者の遺体が多数流れ着いていたとは。この大噴火が原因となった天明飢饉の悲惨な様相も、目を覆いたくなった。史料として貴重な1冊。 ☆42023/04/30
ジュンジュン
10
最近、再放送のブラタモリ「浅間山」の回を観た。天明の大噴火を取り上げていて、その中で印象深かったのが、日本のポンペイこと鎌原の”生死を分けた15段”。噴火による土石流が鎌原を襲った時、観音堂に続く石段50段のうち、上から15段を残してすべて飲み込まれてしまった。観音堂にたどり着いた人のみ生き残れたという。発掘調査(昭和54年)の結果、登り口から二つの人骨が発見された。本書の著者はその調査隊の中心メンバー。浅間山大噴火の経過と発掘の様子を伝える。2023/03/10
オールド・ボリシェビク
9
天明3年7月、浅間山は大噴火した。火砕流や溶岩流は麓の村をことごとく焼き尽くした。利根川を押し流され、江戸まで遺体が届いたという。その噴煙は上空を覆い気象不順を招き、天明の大飢饉をもたらし、さらにはフランス革命の遠因にもなったと言う説さえある。著者はこの噴火で埋没集落となってしまった鎌原村の発掘調査に携わった経験や、資料などから、未曽有の火山災害を描いていく。噴火の生々しさが実にリアルに伝わるドキュメントと言える。2023/04/07
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