内容説明
西はナイル河、北は黒海、東はインダス河、南はアラビア海に囲まれた地域がオリエントである。この地には人類初の文明が誕生し、諸民族が行き来し、数多の王国が栄え滅びていった。シュメルやバビロンを擁したメソポタミア、象形文字や太陽神信仰など独自の文明が発達したエジプト、鉄器を生んだアナトリア、これらに興った国々が激突したシリア、そして東の大国ペルシア……。4000年に及ぶ時代を巨細に解説する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
サアベドラ
44
前著『古代メソポタミア全史』から範囲を拡大し、シリア、アナトリア、エジプト、イランを加えて古代オリエント世界全体を超高速で俯瞰する新書。2022年刊。前著ですら詰め込み感がハンパなかったのに、今回はさらに範囲が広がっている。読む前はさすがに途中でついていけなくなるだろうと思ったが、その分一つ一つの記述が薄くなっているので案外すっと読めてしまった。ただこれだけ薄い(教科書に毛が生えた程度)と読む価値が低くなっている気もする。あと地域ごとの章割りなので時系列が数千年単位で前後するのも気になった。2023/02/21
ぽんすけ
25
前読んだアッシリアの本があまりにも面白かったので、アッシリアを含む広い地域の歴史に関して知りたいと思って手に取った。読んでみるとさすがの一言で、古代オリエントは文明発祥の地であり、様々な民族が経済面でも軍事面でも交わりぶつかる国際社会の見本そのものである。アッシリアの感想でも述べたが粘土板の存在は最強。アジア人として紙が最強だと言いたいが保存能力において粘土板に勝るものはないかもしれない。その大量の粘土板のおかげで何千年も前の国々の様々な活動が手に取るようにわかるのである。特に行政機能や経済活動の成熟さを2025/03/13
おおとろ|ストーリーテラー
23
☆☆☆☆☆ 人類は進歩している——その言葉を、古代オリエントの歴史は時折、乾いた笑いで見返してくる。 「古代オリエント全史 エジプト、メソポタミアからペルシアまで4000年の興亡」を読むと、文明の発祥という教科書的な語感が、いかに表面的だったかを思い知らされる。そこにあるのは、壮大で整然とした文明史ではない。洪水と旱魃、征服と反乱、交易と略奪が幾重にも折り重なった、人類のむき出しの生存記録である。2026/05/10
ピオリーヌ
22
「はじめに」の構成が素晴らしく、興奮が止まらない書き出し。「前3500年頃から前330年までの三千年以上の、人類最長の歴史時代が古代オリエント史である。なんと人類の歴史時代の半分以上の長い時間が古代オリエント史になる。」「文明社会の原点である古代オリエント史にはありとあらゆるできごとが記されている。」「イランとイラクの違いについてもイラン・イラク戦争をイライラ戦争と揶揄していた等一般の日本人には区別が付かない。」「イランは印欧語族であり、イラクはセム語族であり千年以上の対立の歴史がある」2023/06/10
拓実
20
本書の一番の印象は写真等の資料の豊富さである。割合で言うと、2ページほどに対して資料は一つかそれ以上はあったかと思う。その分情報量も増えてやや教科書的ではあったが、わかりやすさに関しては文章と資料のバランスから本と教科書の良いとこ取りのようだった。 個人的な好みの話をすると、古代オリエントの中でもエジプト文明の魅力はやはり頭一つ抜けていると感じる。知名度が高い理由も、他文明との違いがとりわけ顕著に現れている文明であるからだろう。何千年もたった今でも、エジプト文明がひときわ輝きを放って見えるのは、古王⇒2026/03/27
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