内容説明
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明治から大正にかけて日本の急速な近代化を生きた漱石は個人と社会、個人と個人のかかわりを真摯にみつめ小説において模索した。現代においても彼の作品、思想は広く読者を魅了し研究、考察はやまない。漱石の小説の魅力の一つとして、都市、建築空間の記述が詳細であり、それらがものがたりの重要な構成要素としていかされていることがあげられる。
本書は、小説の舞台および漱石の生涯を彩った都市や空間をイラスト化し、詳細な解説とともに、より作品世界と作家の生涯への理解を深めるこころみをするものである。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
なにょう
10
★当時私の家からまづ町らしい町へ出やうとするには、何しても人家のない茶畑とか、竹藪とか、又は長い田圃路(たんぼみち)とかを通り抜けなければならなかった。『硝子戸の中』これは東京のしかも新宿の話である。漱石が子供の時分の。70年前が終戦で、その70年前が明治の御一新である。お江戸の時代は遥かになりにけり。★漱石は慶応の末年―つまり明治とともに育った。江戸を知り、松山や熊本などの地方を知り、英国で痛い目にあった漱石ならではの文明批判の目。漱石自身の住んだ家に、当時注目を集めた建築や場所の絵が満載。2016/07/09
Haruka Fukuhara
4
綺麗な本でした。漱石の作品一覧の年譜を見ていると、小説を書き始めてからは非常に多作だったことがわかる。年に3、4作発表していることはざらで、何も書かなかった年は1度もない。2017/03/21
田中峰和
1
漱石の時代がどんなものだったのか、舞台となった道後温泉や新橋ステーション、帝大の池(のちの三四郎池)の当時の風景をイラストで再現してくれる。牛込第一の繁華街だった神楽坂は、漱石の実家から比較的近場であった。このあたりは、現実に神楽坂芸者と一緒にトランプ遊びに興じた懐かしい場所。「それから」の代助の住まいもこの界隈に設定されている。風景だけではなく、漱石が執筆していた書斎から、修善寺菊屋旅館まで鳥瞰図で紹介される。呉服屋時代の三越陳列所は「それから」にも登場するが、デパート移行前の三越が目の前に甦る。2016/12/07
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