ちくま文庫<br> 快楽としてのミステリー

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ちくま文庫
快楽としてのミステリー

  • 著者名:丸谷才一【著者】
  • 価格 ¥990(本体¥900)
  • 筑摩書房(2023/01発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480429995

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内容説明

探偵小説を愛読して半世紀。ミステリーの楽しみを自在に語る待望のオリジナル文庫。ミステリー批評の名作として名高い『深夜の散歩』から最新の書評まで。ポー、ドイル、チェスタトンからクリスティー、フレミング、チャンドラーまで、そして、グリーン、バルガス=リョサ、エーコまで、さらには、松本清張から大岡昇平、大沢在昌まで、あっと驚く斬新華麗な名篇揃い。

目次

I ハヤカワ・ポケット・ミステリは遊びの文化/[鼎談]丸谷才一×向井敏×瀬戸川猛資/II 深夜の散歩──マイ・スィン/クリスマス・ストーリーについて/すれつからしの読者のために/長い長い物語について/サガンの従兄弟/冒険小説について/手紙/ダブル・ベッドで読む本/犯罪小説について/フィリップ・マーロウといふ男/美女でないこと/ケインとカミュと女について/男の読物について/ある序文の余白に/タブーについて/新語ぎらひ/III 女のミステリー/酔つぱらひとアメリカ──クレイグ・ライス『素晴らしき犯罪』/ヨーロッパへゆく──パトリシア・ハイスミス『太陽がいっぱい』/Ⅳ ミステリーの愉しみ──ホームズから007、マーロウまで/終り方が大切──エリック・アンブラー『影の軍隊』/角川映画とチャンドラーの奇妙な関係──レイモンド・チャンドラー『プレイバック』/なぜ探偵小説を読むのだらう?/小説作法──イアン・フレミング『スリラー小説作法』/ホームズ学の諸問題/名探偵バーティ──ピーター・ラヴゼイ『殿下と騎手』/探偵小説の諸問題/イアン・フレミングと女たち/ハムレット王と孝明天皇──ディック・フランシス『横断』/雁を聞いて眠る──ローリー・リン・ドラモンド『あなたに不利な証拠として』/Ⅴ ミステリー書評29選/探偵小説に逆らつて ロバート・L・フィッシュ『懐しい殺人』/彼女はなぜ殺されたか ミュリエル・スパーク『運転席』/イギリス大衆小説のあの手この手 フレデリック・フォーサイス『ジャッカルの日』/三作目は失敗作? フレデリック・フォーサイス『戦争の犬たち』/もう一人の大統領 フレデリック・フォーサイス『ネゴシエイター』/男には書けない本 P・D・ジェイムズ『女には向かない職業』/黒と灰いろ P・D・ジェイムズ『罪なき血』/世界一の探偵 ニコラス・メイヤー『シャーロック・ホームズ氏の素敵な冒険』/大英帝国を防衛する 富山太佳夫『シャーロック・ホームズの世紀末』/探偵小説の女王 アガサ・クリスティー『カーテン』/名探偵の前史 レイモンド・チャンドラー『マーロウ最後の事件』/これが文学でなくて何が文学か レイモンド・チャンドラー『過去ある女──プレイバック』『湖中の女』/ハードボイルドから社交界小説へ レイモンド・チャンドラー『ロング・グッドバイ』/スパイ小説のパロディ アントニイ・バージェス『戦慄』/愛と憐れみ グレアム・グリーン『ヒューマン・ファクター』/ブラック・ユーモアの作家 グレアム・グリーン『ジュネーヴのドクター・フィッシャー あるいは爆弾パーティ』/新しいアメリカ型探偵小説 D・A・スタンウッド『エヴァ・ライカーの記憶』/二人の探偵の腕くらべ ライオネル・デヴィッドソン『チェルシー連続殺人事件』/自己の探求 パトリック・モディアノ『暗いブティック通り』/新しいジョン・バカン ケン・フォレット『針の眼』『トリプル』/イギリス風俗の研究 ピーター・ディキンスン『キングとジョーカー』/キュラソー島の思ひ出 ウェテリンク『オカルト趣味の娼婦』/美女と野獣と赤毛 マーティン・クルーズ・スミス『ゴーリキー・パーク』/アガサ・クリスティーに逆らつて ルース・レンデル『ロウフィールド館の惨劇』/探偵と地母神 バルガス リョサ『誰がパロミノ・モレーロを殺したか』/ロマン派の名残りのもの ジャック・ヒギンズ『密約の地』/まるで上手な綾とりのやう デイヴィッド・グーディス『狼は天使の匂い』/謎ときの報酬として約束されたもの スティーグ・ラーソン『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女』/ヒーローとその恋人 大沢在昌『絆回廊 新宿鮫X』/Ⅵ 文学、そしてミステリー/エンターテインメントとは何か──グレアム・グリーン/ブラウン神父の周辺/二次的文学/茨の冠──「イエス伝説話」と探偵小説/幾時代かがありまして──ウンベルト・エーコ『薔薇の名前』/父と子──松本清張/ある裁判小説の読後に──大岡昇平『事件』/解説 文学と恋愛する方法 三浦雅士

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

harass

60
ミステリ小説の書評集。この作家の単独本は初めて読む。主に海外ミステリを数ページで書評や紹介している。雑誌や新聞の穴埋め記事であり量が物足りない。しかし品のある言い回しと文学教養と英米の娯楽作品に詳しい著者ならではの文章は軽く味がある。古い文学者は変な偏見があったりや知識がない人が多いのでまれだ。取り上げる作品や作家は名作や大御所が多い。自分はほとんど読んでいるが新しいものでは、ラーソン『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』でこれは未読。また古い名作を新たに読みなおしてみようかという気になった。2016/08/01

i-miya

52
2013.08.27(つづき)丸谷才一著。  2013.08.26  村上春樹についてもう少し。  描写や会話にはチャンドラーの小説から感じるような快さがある。  小粋で切れがよい。  適度に感傷的、ことに会話。  相当深刻な中でも冗談いいあいを楽しんでいる。 すずしげ。  ◎大岡昇平。  アンガス・ウィルソン。  イギリスにおけるなまけ者の青年が、ひとたび国外に出ると、どんな見事な働きをするか、という勇猛果敢かつ、愉快な冒険物語である。  2013/08/27

i-miya

45
2013.08.25(初読)丸谷才一著。 2013.08.24 (解説=三浦雅士=『文学と恋愛する方法』) グレアム・グリーン。 文学の快楽を貪るように読んでいる、味わっているのだ、丸谷才一は。 ◎鼎談=丸谷才一、向井敏、瀬戸川猛資。 戦前=岩波茂雄の岩波文庫、戦前の明治憲法下における軍国主義的で封建的なものに対し、知性と教養を標榜、果敢に戦う。 戦後=早川清、もっと広い範囲に本を提供。 アメリカの小説だと、ハイウェイだのフリーウェイだのが出てくる、訳者も意味がわからない。 2013/08/25

i-miya

37
2013.08.31(つづき)丸谷才一著。 2013.08.30 ◎ケインとカミュについて。 カミュ、『異邦人』にはJ.M.ケインの『郵便配達は二度ベルをならす』が大きな影響を与えている、というのは僕が長い間心密かにしたためていた発見である。 例えば世界の不条理の象徴としての裁判というとらえ方。 全編が死刑囚の手記であり、しかもそのことを最後に書き残すという手法。 そしてなにより、極めてヘミングウェイ風の文体。 大衆小説のパターンを利用した純文学作家はあげればきりがない。 2013/08/31

みや

34
読書会紹介本。探偵小説を愛読する著者がミステリーを語るエッセイ集。「ミステリーは好きだけれど、読んできた冊数は少ない」というレベルの私には早すぎる本だった。読書量、知識量が絶対的に足りなさすぎる。だからと言って、門前払いされるのではない。ミステリ、文学、読書の奥深さを見させてもらうことで、もっと知りたい!もっと読みたい!とワクワク感が盛り上がり、読後の今は読書への意欲が尋常では無いほどに高まっている。辛辣な意見も多いが、その全てからミステリー愛を感じた。この本に相槌を打てる程の読書家にいつかなりたい。2018/10/15

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