ちくま文庫<br> 貸本屋とマンガの棚

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ちくま文庫
貸本屋とマンガの棚

  • 著者名:高野慎三【著者】
  • 価格 ¥935(本体¥850)
  • 筑摩書房(2023/01発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480438386

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内容説明

60数年前、人々は貸本屋から本を借りて読むことが、ささやかな娯楽だった。とくに貸本マンガと呼ばれる作品群は、子どもや若い労働者たちの心をつかんだ。そのなかには若き日の白土三平、つげ義春、さいとう・たかを等の作品があった。戦後社会のあだ花のように咲いた貸本文化の全貌に迫る!『貸本マンガと戦後の風景』を改題・文庫化。

目次

はじめに/第一章 貸本マンガの誕生まで/夜店の赤本と『愉快な三振王』/「おもちゃマンガ」と手塚の赤本単行本/街頭紙芝居と太平洋文庫/紙芝居、赤本から貸本マンガへ/第二章 貸本マンガの隆盛/花売り娘と貸本少女マンガ/五〇年代の復讐譚──『坊太郎天狗』/滝田ゆうの社会派少女マンガ/白土三平『こがらし剣士』と戦後状況1/白土三平『こがらし剣士』と戦後状況2/貸本屋探索行と『バレエ』/戦記マンガの読者とは/『影』『街』の創刊/『少年山河』に描かれた〝怒れる若者たち〟/五〇年代のユーモアの諸相/第三章 貸本マンガ・一九六〇/三茶書房と『忍者武芸帳』との出合い/貸本SFと戦記マンガの同時代性/荏原地区の零細工場群と東京作画会/つげ忠男の幻のデビュー作/つげ義春『忍者秘帳』と安保論争の頃/戦災孤児とつげ忠男の少女マンガ/漁村の貸本屋と『少年 近藤勇』/第四章 貸本マンガ 衰退期の光芒/中目黒の工場群と『轟先生』/『刑事』とさいとう・たかを評価をめぐって/小島剛夕の世界/『血だるま剣法』の問題性/面影橋の佐藤プロと水木しげる/渋谷・大盛堂と『忍法秘話』/つげ忠男と〝ハイティーンの怒り〟/つげ忠男の疾風怒濤時代/二人の貸本作家──池上遼一とつげ義春/第五章 貸本マンガと新宿・十二社と/十二社の料亭街とつげ義春『戦雲のかなた』/新宿・成子坂下の『ロケットマン』/石子順造と杉村篤(コン・太郎)/石子順造の貸本屋巡礼/石子順造と「貸出票」/第六章 貸本マンガと戦後大衆文化/高橋真琴と少女小説/任 映画と佐藤まさあきの劇画/貸本時代小説と小島剛夕/映画の隆盛と貸本現代小説/無名の貸本作家/『旗本退屈男』と少年講談の隆盛/抵抗の系譜が問いかけるもの/第七章 貸本マンガの「場所」/貸出票が物語るもの/下層の人びとと貸本屋/奥付とその痕跡を尋ねて/神田村とつげ義春『奴隷侍』/『全国貸本新聞』の先駆性/太平洋文庫にみる戦後現実/水木しげるの肉声──「読者投稿欄」/おわりに/文庫化にあたって/単行本版解説 梶井 純/文庫版解説 宮本大人

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kinkin

95
昭和30年代頃に数多く出版され貸本屋に流通していたマンガ本について。貸本は小学生の頃うちから10mくらいのところに駄菓子屋と貸本屋を営んでいた店があった。少年マガジンや少年サンデーなどに混じって水木しげるや白土三平、つげ義春の貸本があったのをおぼろげに記憶している。白土三平は難しいのでもっぱらもっぱら恐怖モノを借り空き地で回し読みをした。本には汚れを防ぐのにグラシン紙がかけられてそのすれる音が懐かしい。この本はもっとノスタルジーあfれるものかと思いきや難しかったのが残念。図書館本2023/03/14

佐島楓

73
手塚治虫や水木しげるといったビッグネームが貸本屋に作品を納めていたのは有名だが、それ以外にも「ガロ」で一時代を築いたような漫画家はずいぶん貸本出身だったようだ。独特の丸っこい少年向けの線から劇画的な絵に移行していく変遷、やはり特殊な少女向け漫画の絵柄など、おもしろいと感じる図版が多く掲載されている。貸本文化は半世紀ほど前に消滅してしまった文化だけに、本書のような作品を残すことは意義深い。2022/08/30

阿部義彦

15
文庫オリジナルで「神保町『ガロ』編集室界隈」を出した著者のこちらは他社(論創社)から『貸本マンガと戦後の風景』の名前で出たのを改題して同じちくまで文庫化したものです。水木しげる、さいとう・たかを、白土三平、などについて詳しく触れられており、ほとんどの方が物故している中、つげ義春さんだけご健在で本当に貴重な生き証人ですね。私も小中学までは近所の貸本屋から借りてました、主にガロよりはCOMの「火の鳥」なんかで、当時はつげ義春さんなんて知る由もなかったです。貸出表があって資料的にも納得会員証なんて無かったもん。2022/08/11

みかん。

4
著者は学問としての考古学を一時期志向したことがあって記載が細やかですね。2025/02/27

栄吉

4
★★★☆☆ 貸本文化についての一冊。リアルタイムの世代では無いが興味深く読む。戦後の娯楽の一つ。今はネットでも読める時代になり、古き良き?文化だったと思う。2022/10/07

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