内容説明
兄は“あいつ”に殺されたーー!? 幼き探偵コンビが真相に迫る!
北原白秋に憧れて童謡の創作に励み、「平成の白秋」と称される詩人・北里百男が急逝した。遺書が見つかり、警察は自殺と推定。だが、前途有望の彼がなぜ死を選ぶのか!? 独身の百男は、夫の暴行に苦しむ元隣人・早川兎弥子と恋に落ちていた。年の離れた弟で中学生の万介は、不倫と兄の死の関わりを疑い、兎弥子の娘で小6の瑠々と共に真相解明に乗り出すが……。
「掛け値なしに、辻真先ミステリーの最重要作の一つ」
小説家・阿津川辰海氏激賞の傑作長編!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
森オサム
34
辻真先の文芸ミステリシリーズ三作目。本作のモチーフは北原白秋。解説で阿津川辰海氏が激賞しております。いつもながら褒め過ぎ感は有りますが(笑)。97年に単行本で出てから初文庫化だそうですが、なるほどやや微妙な作品。事件が起こるのが中盤を過ぎてから、と立ち上がりが遅く、その為後半の展開は解決まで端折り過ぎにも感じた。まあ、童謡や児童文学、そもそも子供について描くのがテーマの作品ですから、そこに比重が掛かるの当然なのでしょう。とはいえ犯人やトリックは割に納得、北原白秋ファンの感想が聞きたいですが、居ませんか?。2023/04/22
おうつき
25
殺人事件を描いたミステリにこんなことを言うのもあれだけど、タイトルに反してとても暖かい物語だったと思う。犯人や事件の真相については何だそれ、と肩透かしを食ったようだったけど、そんなことを大して気にならないくらい読ませる内容だった。白秋がモチーフになっていながら、事件そのものにがっつり関わってくるわけではないくらいの距離感で描かれているのも良かった。2023/10/17
coco夏ko10角
21
平成の白秋と言われた北里百男が亡くなった、警察は自殺とするも納得のいかない弟は自分で色々と調べて…。ミステリーはもちろんあるけど、それより子供の成長物語として。第十章で明らかになったことやだなぁ、それなくてもいいような。単行本発売は1997年。『たかが殺人じゃないか』があちこちで1位になったから復刊したり初文庫化したりしてるのか。2023/10/19
ドットジェピー
4
面白かったです2023/02/11
Tatsuo Ohtaka
3
「夜明け前の殺人」(島崎藤村)、「殺人の多い料理店」(宮沢賢治)に続く文豪をトリビュートしたミステリ三部作最終巻。北原白秋に憧れる童謡詩人が、不倫している2人を殺して自殺した? 自殺を信じられない中学生の弟が、小学生の恋人と真相を探る。構成もよくできていて、解決編には爽やかさもあって◯。2023/02/05