内容説明
2016年8月に肺癌が判明、ステージ4まで進行しており「余命6カ月」、のちに「余命3カ月」と宣告された大林宣彦監督。癌と闘いながら映画製作に没頭し、『花筐/ANAGATAMI』『海辺の映画館―キネマの玉手箱』を撮影しました。一時は「余命は未定」になるも、「海辺の映画館―キネマの玉手箱」の公開予定日だった2020年4月10日(コロナ禍のため延期)に永眠。
本書は、ユニコ舎スタッフが2017年から3年間に渡って大林監督を対面取材。大林監督の想いを伝えるメッセージ集です。癌患者、映画作家、軍国少年、未来人としてのフィロソフィーが綴られています。
あとがきは闘病中だった大林監督に代わり、是枝裕和監督が執筆!
電子版だけの追悼寄稿として山田洋次監督の「映像作家と映画監督」を掲載!
目次
生命の章―病と闘う者として
二打席連続ホームランで、今回は場外
「肺癌のステージ4、余命半年」の宣告
砧緑地で見た人生最高の虹
ほとんど消えた癌の影
広島県出身の人間が放射線で命が助かる矛盾
癌は人を殺さない
科学がどんなに進歩しても「医は仁術」は不変
楽天家には薬が効く!
せっかく罹患したのだから治療を楽しむ
癌闘病という豊かな経験
死んでいるヒマなどはない!
一所懸命なのがわかってもらえたら最高の幸せ
特選クラシックシネマ(1)
『カビリア』『担え銃』『プラーグの大学生』『血煙荒神山』『ビリー・ザ・キッド』
虚実の章―自主映画の作家として
のらくろと丹下左膳のコラボレーション
フィルムアーティストの時代が来た!
映画は究極の“虚”の芸術
映画はウソから出たマコトを映す
キャメラが捉える俳優の正体
映画に映る監督と俳優の信頼関係のカタチ
大島渚を嫉妬させた小津安二郎
淀川長治に酷評されたスピルバーグ
山田洋次監督と一緒に胴上げしてあげたい是枝裕和
高畑勲監督と語り合いたかった『ビリー・ザ・キッド』
小さなキャメラでは俳優はスターになれない
正直で素直な原田知世は天性のスター
映画がつくる虚構の中で僕たちが願うもの
大林“虚彦”となって虚構を撮る
特選クラシックシネマ(2)
『大学の若旦那』『君と別れて』『魂を投げろ』『暗黒の命令』『丘の静かなる男』
非戦の章―敗戦国の軍国少年として
本当の勇気は敵と戦わないこと
「反戦」などとは言えないが、戦争は二度とごめんだ
平和な世の中をつくるために映画はある
映画人に衝撃を与えた9・11の惨劇
寺山修司と立川談志の義憤と苦悩
敗者にも勝者にもある戦争の痛み
世界平和に貢献するスポーツの精神
平和をつくるには四百年かかる
戦意高揚映画であった『駅馬車』
ミスター・アメリカの死に感じる戦争への憎悪
求められる庶民の側に立ったヒーロー
『東京物語』と『東京家族』に込められたメッセージ
新たな戦前映画を撮り始めた若き映画作家たち
映画はジャーナリズムである
特選クラシックシネマ(3)
『群盗の町』『烙印』『狙われた駅馬車』『死の砂塵』『シマロン・キッド』
未来の章―未来を生きる人として
チャップリンの作品で発見した「処女作はすべてを語る」
芸術を心で感じる黒澤明さんが残した宿題
往年の映画が示唆する未来を生きるためのヒント
映画があれば人生はハッピーエンド
枝葉的な技術よりも幹が大切
一億総白痴化の波に流された映画界
4Kで発見した志村喬さんの“生きる ” 演技
“十六歳のベテラン ” のまま三千年は生きる!
あとがきにかえて 是枝裕和「卒業と入学の季節に」
追悼寄稿 山田洋次「映像作家と映画監督」
感想・レビュー
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