内容説明
ロードサイドにモスク建立?! 地方都市で暮らす在日ムスリムたちを追った、笑いと団結、そして祈りのルポタージュ
日本で暮らす移民は増え続けている。香川県には、2022年時点で約800人のインドネシア系ムスリムからなるコミュニティーが存在するが、信仰のための施設《モスク》はまだない。 信仰にとってモスクとはどのような存在なのか? そもそもイスラム教とはどのようなものなのか? モスク建立に奔走する長渕剛好きのインドネシア人フィカルさんとの出会いから、著者は祖国を離れ地方都市で暮らす彼らのコミュニティーに深く関わるようになっていく──。
目次
プロローグ
第1話 出会いと介入 和室に響き渡るムスリムの祈り
第2話 ゆめタウン、フードコート集合 寄付活動に密着
第3話 義理と人情の男 フィカルの波乱の人生
第4話 物件探しに見るフィカルさんのトラウマ
第5話 混迷の物件探し 差別と偏見のリアル
第6話 技能実習生とモスク 弟分のためのフィカルのカチコミ
第7話 モスク完成が目前に! 突然現れた、謎の富豪ムスリム
第8話 パンデミックが炙り出すムスリムの絆
第9話 危うい計画 無謀な挑戦の行方
第10話 突然翻られたパートナーの反旗
第11話 多様性の意義 ムスリムの世界観に救われる
第12話 娘たちへの不安
第13話 快進撃前夜 動画制作、涙の演奏会
第14話 ついに始動、インドネシア人コミュニティーの底力
第15話 70人のバス旅行 消えた友人と、私がムスリムを追う理由
第16話 モスク完成と聖なる出発点
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆいまある
107
涙あり笑いありのノンフィクション。香川県にモスクができた。作ったのは38歳インドネシア人フィカルさん。苦労に苦労を重ね、日本に根を下ろした浪花節人生に迫る。作者はフィカルさんと同い年。取材を重ねる内に、人の温かさに触れ、イスラムの教えに救われ、不安なコロナ禍を共に乗り切ることとなる。地方のムスリムの現状を知る貴重な記録でもあり、「彼ら」も「私たち」の一部であり、どうかどうか、イスラム教のこと何にも知らないで、フィカルさん達を傷つけたりしないでねという作者の願いが伝わってくる。人の優しさに触れる本。2023/02/12
pohcho
56
インドネシア人ムスリムたちが香川初のモスクを建てるまでの奮闘記。中心人物のフィカルさんは長渕剛好きの溶接工。モスク建設という途方もない夢に向かって、仲間と力を合わせて突き進む。途中さまざまな問題にぶつかり迷走もするのだが、インドネシア人の大らかさとムスリムの助け合い精神で乗り越え、コロナ禍に2800万円もの寄附を集め、ついにモスクが出来た時は感動した。人とつながり、お互いに助け合って生きる素晴らしさを実感できる本。とてもよかった。2023/04/25
たまきら
47
わあ、これは動画でドキュメンタリーとして見てみたいです。インドネシア人の友人たちの多くはイスラム教徒ですが、敬虔な信者はあんまりいないのでモスクを立ち上げるために奮闘するフィカルさんは別の国の人みたい!公安の話。差別の話。辛いエピソードもあるけれど、同時に彼を温かく迎える人たちのエピソードもある。違いを受け止められる人間でいたいです。…昆虫の生存権のためにわいわいやってる自分こそはじかれそうだけど。2023/04/29
あやの
43
最近の「日本人ファースト」の風潮の中で、フィカルさんはどう過ごしているのだろう。日本の労働の下支えを担っているのは外国人技能実習生だ。彼らが心の拠り所となるモスクを欲するのは当然だが、日本社会が今までのようにムスリムに対して適度な無関心でいられるのだろうか。仲間を大切にし、義理人情に厚い昭和人のようなフィカルさんだから建物購入が実現したが、同様のモスクが各地にできていったら、地域社会との共存は可能だろうか。お互いに歩み寄るのはかなりの努力を要すると思う。2025/07/28
kawa
32
香川県西部の某都市にイスラム教会のモスクの建設をした溶接工の中年インドネシア人・フィカルさんの熱い生き方をドキュメント。不可能に見えた建設を見事に完成させた在日のインドネシアの人々の高い信仰心と純朴さに驚きと感動。古き佳き昔の日本人と共通するところがあるのかもしれないが、その団結力はかなわないだろう。知らない、良く解らないことに警戒感をいだくことは一概に否定すべきではないが、それと同じエネルギーで知る努力も必要であることを学ばさせていただく。2024/05/31
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