内容説明
溺死が先か病死が先か?
CT、MRI、PETの画像から、
目の前にいない患者の真実、事件の真相を見つけ出す、
緊迫の医療ノンフィクション。
完治を可能にする治療には、前もっての正しい画像診断が欠かせない、
犯罪を立件するためにも、冤罪を防ぐためにも、画像診断は重要な意味を持つ。
そこに関わる放射線科専門医を、もっと増やさねばならない。
本書では、画像読影の意義を理解してもらうべく、私が取り扱った事例を、
ごく一部ではあるが画像付きで紹介していく。
(本書「はじめに」より)
放射線診断医がCTやMRIなどの画像を読み解く「読影」をテーマにしたノンフィクション短編集です。
診療科の専門化が進む中、放射線診断医は主治医とは別の広い視野で
全身を診る重要な役割を担っています。
米国では「ドクターズドクター」と呼ばれ、地位も報酬も高い。
しかし日本では、患者と接する機会が少ないためか、一般への認知度は低くとどまっています。
「主治医が判断できない画像から答えを導き出す」
「主治医の見立てに対して幅広い知識と読影の技術で間違いを指摘する」。
人の生死に直結する判断だけに、責任は重いがやりがいのある仕事です。
また、画像となった患者の背景には、病気や怪我に至る人間ドラマがあります。
放射線診断医が画像やデータを駆使して、
目の前にいない患者の真実を推理していく過程は大変興味深いものです。
それぞれのストーリーの冒頭にCTやMRIなどの画像を掲載し、
画像の解説から背景となる患者を取り巻く人間模様へと展開していきます。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kurara
39
★3.5 放射線科の医師っていらっしゃることを初めて知った。技師ではなく医師。解剖する前にCTやMRIを駆使して診断する「読影」。どんどん広まって欲しいし駆使してほしい。そして判断力のある医師が増えていってほしいです。#NetGalleyJP2023/09/14
さっちゃん
37
放射線科の専門医による、CTやMRI、PETなどの画像を読み解く「読影」をテーマにした事例集。画像を交えて経緯を解説されており素人にもわかりやすい。ただ、スーパードクターなのは間違いないと思うけれど、読み進めるうちに少々自慢気な語り口が気になっていった。/年に1,2度脳のMRIが必要な私は画像をみながら説明を受けるけれど、当然素人にはよくわからずすべて主治医にお任せ状態(もちろん信頼してます)。著者のように読影力や診断力のある医師がどんどん増えていって欲しい。 #NetGalleyJP2023/05/18
ぽてち
36
現役の放射線科医である著者が、自らが手がけた数々の症例を通して“画像読影”の重要性を示す本。テレビドラマにもなった『ラジエーションハウス』の現実版ともいえる。各扉には患者さんのCT・MRI・PETの画像が掲載され、そこから何が読み取れるか、どのように治療が進んだかを示していく。医者の診断で見落とされていた病気を画像だけで特定するプロセスは論理的かつエキサイティングで、非常に説得力がある。ただまあ、実績に裏打ちされた自信の現れだとは思うが、若干自慢げにも感じられてしまった。2023/01/23
spatz
13
現役の放射線科の医師である著者が重ねてきた体験の数々はわかりやすく読みやすく、画像を使用しながら素人の読者でも興味深く、また身近に潜む様々な危険を意識してほしい、との願いが込められているように感じた。このテーマで読みやすい、ということは簡単なことではなかろう。専門用語ばかり並んでいたら興味を持てそうな題材でも読み続けることは困難だっただろうから。引きこまれるのは、病気と画像から浮かび上がるのが、人間の生き様だからだろう。これはほとんどドラマのようだ。病気を診断して治療する、という単純なものではないのだ。 2023/06/21
ムナグロ
0
画像診断の重要性を認識した。映っていても読めければ何にもならない。読影医師の読影技術の向上を願ってやまない。 著者のますますの活躍を期待したい。 2023/03/15