内容説明
2022年7月8日、選挙演説中に凶弾に撃たれ、非業の死を遂げた安倍晋三元首相の肉声。なぜ、憲政史上最長の政権は実現したのか。一次政権のあっけない崩壊の後に確信したこと、米中露との駆け引き、政権を倒しに来る霞が関、党内外の反対勢力との暗闘……。乱高下する支持率と対峙し、孤独な戦いの中で、逆風を恐れず、解散して勝負に出る。この繰り返しで形勢を逆転し、回し続けた舞台裏のすべてを自ら総括した歴史的資料。
オバマ、トランプ、プーチン、習近平、メルケルら各国要人との秘話も載録。
あまりに機微に触れる――として一度は安倍元首相が刊行を見送った36時間にわたる未公開インタビューの全記録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
南北
110
優れた政治家を失ったという感慨を覚える一方、凶弾に倒れることがなければこの内容を知ることができたのは何十年後だったかと思うと複雑な気持ちになる。省益に走り偽情報を上げてくる官僚への批判や各国首脳の日本に対する温度差、譲位に関する対応などが印象に残った。インタビュー形式で書かれているので、安倍氏の肉声が伝わってくるような感じがした。景気回復を行うには、マクロ経済学を理解し、官僚をシンクタンク代わりに使わない政治家でなければならないが、そんな政治家はいるのだろうか。2023/04/15
reo
87
安倍ちゃんが凶弾に倒れ来月の8日で1年になる。戦後レジュームからの脱却を掲げた2006年の第1次安倍内閣から自民党の野党転落。そして2012年年末の衆議院選挙に大勝し第2次安倍内閣が発足。その後第4次安倍内閣に至る2020年9月まで7年9か月、その間僕も女房もずっと安倍ちゃんのファンでした。安倍ちゃんが身罷りまだ一周忌も経ないのに、LGBT法案を党内強行採決法案化し、中国・韓国に媚びを売る自民党には、ほとほと愛想が尽きた。もう安倍ちゃんがいないのだから義理立てする必要もない。自民党を見限りました。2023/06/28
Tomoichi
77
GW課題図書2冊目。安倍さんが話している姿が浮かぶインタビューで、信頼されていなかった官僚が読めばショックだろう。やはり総理大臣がその政策を実行するには官僚の人事権を握るのが一番というのがわかる。結局官僚は安倍さんの長期政権を予測できず、コントロールできると勘違いし、最終的には信用されない人たちになったのでしょう。2023/05/05
TATA
67
私自身はこの方に対してネガもポジもなく、ケースごとに是々非々として一読。読んでてこれじゃなーと思うところも散見されるが、それでもなるほどと思う部分も多い。長期政権となれば他国の宰相も一目置いてくるとのあたりは納得感のあるもの。オバマだトランプだ、中韓インドだというあたりの外交の箇所はある意味分かりやすく興味深く読めた。案件ごとの落とし所を探りつつ現実に即して対応するあたりは企業の経営者のようでもある。2024/04/06
よしたけ
61
安倍元首相へのインタビューを死去後に編纂。公平性を期して厳しい質問も投げたとしているが、基本的に同氏賞賛になっていると割り引いて読書要。内容は多岐に渡るが、長期政権に裏打ちされた各国首脳との裏話は興味深かった。トランプは与しやすい相手と割り切って親交深めた様子や、権威主義国家とは常に長期政権を背景に心理戦を繰り広げていた様子が汲み取れる。首相たるもの自衛隊の高指揮官たれるかを重視していたという保守派を感じさせる論述あり、常に党内派閥に配慮していた論述も多い。官僚との駆け引きも多く、常に対決姿勢だった様子。2023/10/11