内容説明
ときには、猫のように生きてみる。
高校生、バーの店員、獣医師……のら猫との出会いと、生命をめぐる8つの物語。
・病気で臥せっている小学生・芳子の部屋で子猫が4匹生まれた。芳子は小さな子猫チビのことが気がかりで……(「ミー子のおしえ」)。
・高校を中退し新宿二丁目のゲイバーで働いているエーイチ。ごみ収集を生業にしながら、のら猫をバーの屋上に住まわせている伝説の「エルヴィスさん」と出会い……(「逃げればいい」)。
・孤独な獣医の湯出。思いがけないトラブルから逮捕されてしまい……(「猫の恩返し」)。
『おれのおばさん』『大きくなる日』『駒音高く』ほか家族小説の名手が描く感動の連作短編集。
◆目次◆
第一話 ミー子のおしえ
第二話 やさしく透きとおる
第三話 それぞれのスイッチ
第四話 男の子たち
第五話 エイミー先生
第六話 気になるあのひと
第七話 逃げればいい
第八話 猫の恩返し
装画/とりごえまり
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
217
★本日(2/22)は、猫の日、😻×😻で全部で4作読みました。まずは第一弾、昭和40年男 佐川 光晴、2作目です。 人と猫の連作短編集、エイミー先生は素敵でした。地元大宮の居酒屋や大宮高校が登場するとは思いませんでした(笑) https://www.j-n.co.jp/books/?goods_code=978-4-408-53819-82023/02/22
シナモン
111
時や場所を超えて繋がっていくスケールの大きい短編集でした。どの物語も言うほど猫は絡んでこないけど、いつどんな時でも猫は人間にとって身近な存在なんだなぁと改めて思います。読了直後はあんまり響かなかったなーという印象でしたが、少し経ってじわじわと。可愛らしい装丁も魅力的な一冊でした。2023/08/30
モルク
106
少しずつ繋がっている8話の連作短編集。猫が主役ではないものの、その存在感はピリリと辛い山椒のようなもの。幼い頃母を亡くし母を見て学ぶことはできなかったが、猫のミーコから育児や様々なことを学んだ芳子から始まる。繋がる人たちが猫を見つめ関わる。動物病院のエイミー先生が死の縁を彷徨っている間に念願の三毛猫になる「エイミー先生」とエイミー先生の先輩のダメ男湯出先生の猫から得た再生の話「猫の恩返し」が特にお気にいり。どの話もほっこり温かく猫に対する深い情を感じた。2025/06/03
みかん🍊
98
猫の恩返しとまではいかないが、猫と関わることによって、救われたり変われたりした人々の8編、時と場所を変え緩く繋がっていき、その繋がりによって助けられたり、ほっこりするだけでなく、過酷な猫たちの状況や問題のある家族状況だったり正義感からの行動が批判を浴びたりジェンダー問題だったり重い問題もある、猫も人間も生きずらい現代だけど、猫のようにしなやかに自由に愛情を持って生きてみる事も必要、猫にならいたい。2023/03/01
ゆみねこ
84
猫と人の関わりを淡々と綴ったお話。病弱な芳子ちゃんの部屋でお産をしたミーコ。ミーコが誰にも頼らず仔猫を産み育てる姿から生きる力を貰う芳子ちゃん。芳子ちゃんの次男ミカズさんはガラス作家に。ミカズさんの工房で野良猫が仔猫を産み…。まあ、猫好きなので楽しく読了出来たけど、少し物足りなさを感じた。表紙の猫たちは可愛かった。2023/04/01