生殖する人間の哲学 - 「母性」と血縁を問い直す

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生殖する人間の哲学 - 「母性」と血縁を問い直す

  • 著者名:中真生
  • 価格 ¥3,520(本体¥3,200)
  • 勁草書房(2023/02発売)
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  • ISBN:9784326154791

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内容説明

本書は、生殖に関するいまだに根強い従来の見方を再考し、「産む」ことや、自分の子どもをもつことだけでなく、「育てること」や、子どもとの関係からなる「親であること」もまた生殖の一部として考察していく。そこでは生殖に関するいくつかの境界線(妊娠出産経験の有無、血縁の有無、子どもの有無)が揺るがされ、無効化されることになるだろう。

目次

第1章 「生殖」と他なるもの
 はじめに
 一、生殖するものとしての主体
 二、生む・生まない/産む・産まない
 おわりに――「生むものとしての人間」へ向けての展望

第2章 生殖の「身体性」の共有――男女の境界の曖昧さ
 はじめに
 一、生殖の「身体性」とは何か
 二、身体的経験と「身体性」の相違
 三、生殖の「身体性」における境界の曖昧さと流動性
 四、「身体性」の非対称性と縮小
 五、「身体性」の共有の拡大
 おわりに

第3章 「母性」の再考――「産むこと」に結び付けられているもの
 はじめに
 一、「母性」とは
 二、「母性」の区分――リッチを手がかりに
 三、「母性」の分節化
 おわりに

第4章 新たな「母性」――産むことと、育てること/母であることの分離
 はじめに
 一、産むことと育てることの分離可能性――「母性」の第一の側面の分解
 二、母であるというあり方――「母性」の第二の側面の分解と再解釈
 三、身体性のグラデーション――明瞭な境界線の代わりに
 四、なぜ「母」と呼び続けるのか――「第一の親」への呼び換え
 おわりに

補章 事例から見る、産む(生む)ことと育てることの分離――新生児特別養子縁組、「赤ちゃんポスト」、児童養護など
 はじめに
 一、望まない妊娠における、産むことと育てることの分離
 二、新生児の特別養子縁組
 三、緊急時の最終手段――「赤ちゃんポスト」、内密出産
 四、その他の一時的/長期的分離――一時保護、児童養護施設、里親制度
 五、両義的感情や葛藤――通常の場合との連続性
 おわりに

第5章 父親や養親の側から生殖を見る――間接性と二次性を超えて
 はじめに
 一、生殖における「核」と、そこからの隔たりによる「親」の「序列」
 二、父親の間接性あるいは二次性
 三、「第一の親」(primary parent)であること
 四、「親」のグラデーションとその変動
 おわりに

第6章 産むことや血縁を超えた「第一の親」の拡大
 はじめに
 一、産むことと「第一の親」であることの分離――育てることへ
 二、親業における身体性とその変容
 三、「第一の親」に不可欠なもの
 四、子ども側の視点と「第一の親」の複数性
 おわりに

終章 生殖にかかわる三つの境界の攪乱
 はじめに
 一、「生む(産む)こと」に関する境界とその無効化
 二、なぜ境界ができるのか――代替不可能・不可逆という見方が境界を強化する
 おわりに

あとがき
参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

sk

5
生み育てるということを精緻に問い直していく。丁寧な哲学の仕事。2021/10/19

kentaro mori

3
「親子」「家族」を拡張する。『二十歳の息子』(島田隆一)の副読本として。●私たちは、いつでも「親」になりうるし、いつでも「親」でなくなりうるだけでなく、だれもがつねに「親」であると同時に「親」でないとも言えるのではないか。[•••]さらには、だれもが、「親」であり、また「親」でないあり方のあいだをたえず揺れ動いているとも言える。[•••]だれにとっても、「親であること」は象徴的な意味しかもたないことになる。だれもが完全には、[•••]「親」でありえないし、だれもがいくぶんかは、その意味での「親」である。2022/12/26

check mate

2
序文の次の文章に共感できるかどうか、共感できないとすればどの部分か。それが本書に対する評価を分けると思われる。「子どもを産んだり(生んだり)育てたりすることは負担にも喜びにもなり、その両方でもあるのだとすれば、本当は、「親」と呼びうるだれもが十分に子どもにかかわり、負担が過ぎるとき、辛いときは自由にそのかかわりから、部分的であれ全面的にであれ、あるいは一時的にであれ長期的にであれ、身を退くことができるようになるのが理想である。(ⅲ-ⅳ)」2021/12/20

たにぐちたかと

0
★★★★★ 個人的には2023年で特に記憶に残る1冊。インスタントな情報伝達(例:ネットニュース)では伝えることも考えることも困難であろう、特に母と子における「そもそも」に対する丁寧な議論は一読の価値がある。まだ子育てを経験していない自分は議論と主張を他者目線で理解できるが、子育てを終えた世代はこの本をどう読むのか?決していい気持ちのしない読者もいるだろうがそれでもいいと思う。2023/09/28

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