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内容説明
留学中の遠藤周作がパリで出会った才媛、フランソワーズ。日本と数奇な縁で結ばれたその短い生涯を、二人の交わした書簡と遺族らへの丹念な取材から浮かび上がらせる。次姉ジュンヌヴィエーヴの手記、および未公開の遠藤の恋文19通全文を特別収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
116
日本人作家が留学中に現地女性と懇ろになってしまう話は森鴎外が有名だが、遠藤周作もフランスで同じ経験をしていたとは。しかも婚約までしながら病気を理由に帰国すると、彼女を捨てて日本人と結婚してしまうのも同じだ。しかも鴎外の相手はドイツに帰国後に縁切れしたが、遠藤の元恋人は日本語を学んで日本で教師となり、『沈黙』の仏語訳をしていたという。ちょうど『死海のほとり』と『イエスの生涯』を書いていた時期で、両作にある無力な人間イエスを信じ切れなかった人びとの姿は、かつて愛した女が身近にいる遠藤の心境を反映していたのか。2022/10/16
karutaroton
11
人のラブレターを本にすることに物議があったような記憶があるけど、この本だろうか?人のラブレターを読むのはちょっと背徳感がありました。情熱的やなー。ただやっぱり日本で結婚しといて何も言わんのはあかんと思うな、人並みな感想ですが…2025/03/22
たいこ
8
遠藤周作はパリ留学時に知り合ったフランソワーズと結婚の約束をするのに、帰国後別に人と結婚して、しかもフランソワーズには言わない…。なんてやつや。『沈黙』を書いた人とは思えへん。そんな中、フランソワーズは日本でフランス語の先生として働き、日本で知り合った人とも繋がりを作っていく。どんな気持ちで来日したのか、何でそんな生き方を選んだのか、色々心に残った。2023/07/30
もさち
4
約50年前、聡明なフランス人女性が癌のため41年の生涯を閉じる。彼女は遠藤周作がフランス留学の際に出会い、婚約までしていた人物だったと知り驚いた。女性遺族が保管していた遠藤から彼女への書簡の数々でその事実は明らかだ。しかし遠藤は帰国後日本人女性と結婚してしまう。彼女は遠藤を追って日本の大学で職を得るが、ついに愛が成就することはなく失意のうちに人生を終える。こんな運命を辿った女性が居たのだ。彼女の生涯を一編にまとめ、残すことの意義を感じる。遠藤夫人が昨年逝去したことも出版の契機になったのだろうか。2022/10/04