内容説明
《話題の人類学者による初のノンフィクション!》
──まるで小説のようなフィールド体験記
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日本を飛び出し、ボルネオ島の熱帯雨林に生きる狩猟民「プナン」のもとで調査を始める「K」。
彼らは、未来や過去の観念を持たず、死者のあらゆる痕跡を消し去り、反省や謝罪をせず、欲を捨て、現在だけに生きている。
Kは、自分とまるで異なる価値観と生き方に圧倒されながらも、少しずつその世界に入り込んでいく……。
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【目次】
■プロローグ……森を撃つ
■多自然
インタールード──ジャカルタのモエ・エ・シャンドン
■時間性
インタールード──見失い
■無所有
インタールード──明石先生のこと
■人類学
■エピローグ……ロスト・イン・ザ・フォレスト
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kawa
34
ボルネオ島に住む狩猟民ブナンは、生活のなかで過去と未来の時間軸がなく、今だけを生きる人々なのだそうだ。従って彼らには過去を振り返る「反省」「感謝」や、未来を想像する「希望」「所有」「不安」という概念が稀有らしい。羨ましくもあり羨ましくもなし。環境で如何様にも変化できるのが人間の本質なのかも知れない。2023/02/15
imagine
10
自らのフィールドワークを、Kという人類学者の一人称で語らせる、小説風のルポ。狩猟民プナンと森で暮らす様子を伝えるには、フィクションの方が有効という判断だろうか。時間、所有、欲望、信仰といった概念が、ことごとく異なる民族との生活。謝ったり、感謝したり、憐れんだりすることをしない文化に翻弄される、Kの心情が面白い。自分はもう少し批評的な文章が好みだが、人類学や辺境モノの初級編として、広く読まれてほしい一冊。そのような層に向けたタイトルと表紙に振り切ってみてもよかったのでは。2024/01/17
海星梨
8
文化人類学がフィールドを起点とし最重要とする学問ならば、それを完全に伝えようとすれば、文化人類学者がフィールドで体験した出来事の追体験になるのだろう。全然そういう描写はないけど、神話のメモをしているあたり絶対にフィールドノートはあるはずで、それと睨めっこして原稿を書いているんだろうなぁと。必死で原稿を構築しているはずなのに、それを感じさせない完成度。2024/03/12
nobu23
8
人類学者の著者による、ある狩猟民族と共に生活した際の体験記を小説風な語り口で書いたもの。 フィクションのような雰囲気の変わったティストが楽しめる。 狩猟民族の独自の文化や概念と淡々とした文章で描かれていて面白い。2023/01/24
LongRide Taka
5
もっと文明化が進んでいない部族かと思ったが、ライフルやバイクも持っている。でもその価値観の差は驚くべきものがあった。徳を積んだ人、ビックマンの定義は現代人に反省と癒やしをもたらしてくれるように思う。コロナの後にこの部族を訪問すると、貨幣経済に呑まれて様々なユニークさが損なわれていた。国の援助や補償が部族のアイデンティティを損なう。本田勝一のエスキモーのルポルタージュを思い出した。 2023/03/06
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