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内容説明
「ワイセツとはなにか」
猥褻文書摘発事件に一流作家が集結
圧巻の証言集を開廷50年目にして復刊
〇被告人 野坂昭如
〇特別弁護人 丸谷才一
〇証人 五木寛之、井上ひさし、吉行淳之介、開高健、中村光夫、金井美恵子、石川淳、田村隆一、有吉佐和子
発禁となった短篇「四畳半襖の下張」、栗原裕一郎による書き下ろし解説を収録した完全版
丸谷才一
「後世、四畳半襖の下張裁判とは何であつたかを概括する史家は、まづ何よりも、それが日本最初の、日本文学に関する文芸裁判であつたことを言はなければなるまい」
野坂昭如
「人間の精神的営みは、どのような存在からも自由であること、その当然の帰結として、『四畳半襖の下張』という小説が、どのような意味、見地からも猥褻文書に該当しないことを、主張しつづけます。一小説家として、また一人の人間として」
井上ひさし
「これはもうほんとうに、わかんないなら実はおれが書いたと言いたいくらすばらしい作品ですね」
石川淳
「『古事記』以来、やはりこれは神事にはそういう男女のことが関係するというならわしの(中略)その「おまつり」の儀式です、『四畳半……』に書いてあることは」
有吉佐和子
「小説書きというのは、私もそうですけれども、好奇心は人一倍強いわけで、野坂さんは牢屋に入るということは欣喜雀躍として入るんじゃないかと。私はそれをたいへん心配しております」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
38
「四畳半襖の下張」裁判において、法廷に証人として立った作家達の証言をまとめている。これがすこぶる刺激的で痛快で奥深い。証人に立った作家達は、まず被告の弁護人から自己紹介を含め、自身の作家歴を披露させられる。弁護士は文学に関して素人であるから、実に丁寧に詳しく聞き出すのだが、そのおかげで各作家の文学観がとてもわかりやすく伝わってくるのだ(あるいは、自己を語らせることで作家論にもなっている)。本書の編集人で、裁判では特別弁護人を務めた丸谷才一が「さしずめ、「現代日本文学全集」の趣」と称したのが(つづく)2023/05/09
chuji
1
久喜市立中央図書館の本。2023年1月初版。「作家の証言 四畳半襖の下張裁判」1979年10月 朝日新聞社刊に短編「四畳半襖の下張」を収録し、完全版としたもの。この裁判は約半世紀前のもので、オイラは高校生でした。当時は「四畳半襖の下張」を読みたかったが、目にすることが出来ず、半世紀たち読了出来ました。口語体で読みづらい文章でしたが、今ではちょっとエッチ?という感じでしょうか。作家の証言は皆さん個性が出ていて面白かった。2023/03/15