サイボーグになる - テクノロジーと障害,わたしたちの不完全さについて

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サイボーグになる - テクノロジーと障害,わたしたちの不完全さについて

  • 著者名:キム・チョヨプ/キム・ウォニョン/牧野美加
  • 価格 ¥2,970(本体¥2,700)
  • 岩波書店(2023/01発売)
  • 夏休みの締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/24)
  • ポイント 810pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784000615679

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内容説明

世界が注目するSF作家と,俳優にして弁護士の作家.ともに障害当事者でもある二人が,私たちの身体性とテクノロジーについて縦横に語る.完全さに到達するための治療でなく,不完全さを抱えたままで,よりよく生きていくための技術とは? 韓国発・新しい社会と環境をデザインするための刺激的な対話.韓国出版文化賞受賞作.

目次

日本語版への序文(キム・チョヨプ,キム・ウォニョン)
はじめに(キム・ウォニョン)
Ⅰ われわれはサイボーグなのか
1章 サイボーグになる(キム・チョヨプ)
ダイヤモンド惑星のサイボーグの男
遠くて身近な障害者サイボーグ
向上ではなく変換する技術
2章 宇宙での車椅子のステータス(キム・ウォニョン)
伴侶種車椅子
鏡の前の障害者サイボーグ
義足や車椅子は身体の一部だろうか
車椅子になって
3章 障害とテクノロジー,約束と現実のはざま(キム・チョヨプ)
障害を克服するやさしい技術?
「わたしたちは障害を根絶します」
技術は障害の終焉をもたらすだろうか
4章 青テープ型サイボーグ(キム・ウォニョン)
火星で生き残ったヒューマン
人間を超えた人間
ホーキングほど人間的でないなら
人間というアイデンティティーを問題視する存在
青テープのような存在たち
Ⅱ ケアと修繕の想像力
5章 衝突するサイボーグ(キム・チョヨプ)
見えない障害
サイボーグという烙印
サイボーグはロボットスーツを夢見るのか
サイボーグの身体を維持すること
単一のサイボーグはない
6章 「障害とサイボーグ」のデザイン(キム・ウォニョン)
骨工学の限界
マッコウクジラの骨と見えない補聴器
ファッションとディスクレション
テクノロジー,障害,フェティシズム
「不気味の谷」を回避して
障害をデザインすること
7章 世界を再設計するサイボーグ(キム・チョヨプ)
不具の科学技術を宣言する
知識生産者としての障害者
ユニバーサルデザイン,障害者中心のデザイン
ストロー廃止は非障害者中心主義だろうか
YouTubeとハッシュタグ,障害者運動の新しい波
仮想空間のアクセシビリティー
残された問い
8章 スーパーヒューマンの継ぎ目(キム・ウォニョン)
障害を治す薬
治療を受けてキャプテン・アメリカになる?
滑らかさの誘惑
シームレスなデザインと継ぎ目労働
滑らかな世界に亀裂を入れる存在
ガタつきを甘んじて受け入れる力
Ⅲ 連立と歓待の未来論
9章 障害の未来を想像する(キム・チョヨプ)
わたしたちの異なる認知世界
あなたの宇宙船を設計してみてください
火星の人類学者たち
サイボーグニュートラル
10章 つながって存在するサイボーグ(キム・ウォニョン)
二本の脚で立てば依存しなくても済むのだろうか
わたしを世話するロボット,わたしが世話するロボット
他人の顔を見なくてもいい生活
連立の存在論――「共にあること」を助ける技術
対談 キム・チョヨプ×キム・ウォニョン
一つのチームになる
生存以上の話
障害と科学技術の複雑な関係を考える
身体または存在を公表するきっかけ,オンラインとオフラインで
障害の経験の固有性
サイボーグという象徴に関して
人間と技術文明の切っても切れない関係
わたしたちの生が交差する瞬間
おわりに(キム・チョヨプ)
謝辞
訳者あとがき
参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おたま

56
SF小説作家であり、後天性難聴の聴覚障害当事者であるキム・チョヨプと、骨形成不全症という難病で車椅子ユーザーとなり作家・弁護士・パフォーマーとして活動するキム・ウォニョンの往復書簡と対談が収められている。「サイボーグ」とは身体の一部を機械化された人間のことを指すが、この本ではそれが象徴的な言葉として選ばれ、障害とテクノロジーについて、お二人がそれぞれの立場から考察を進める。内容は、障害とテクノロジーの現在とこれからについてだが、非常に多岐に渡って縦横に語りあっている。要約は難しいが、非常に触発される。2025/04/16

ケイティ

30
とても有意義な読書になりました。ともに障害を抱える、SF作家のチョヨプさんとパフォーマーのウォニョンさんとの「障害とテクノロジー」をテーマにした共著。自身の状況を踏まえた等身大の目線、社会のあり方についての考え方など、大変参考になりつつ胸に響く内容。良かれと思って、非障害者は当事者を蚊帳の外に置いた気遣い、理想とするストーリーに落とし込んでしまう危うさを自戒を込めて痛感しました。今日明日の生活が少しでも楽で快適になること、何より当事者を置いてきぼりにせず声を聞くことを心に留めたい。2023/05/13

あおでん@やさどく管理人

28
「わたしたちが光の速さで進めないなら」のキム・チョヨプさん、ということで知った本。「車椅子で暮らす人は2本足で立って歩くことを本当に望んでいるのか」「テクノロジーの進歩は障害者を置いてけぼりにしていないか」といったことを問いかけられる。将来のテクノロジーで障害者がサイボーグになれるとしても、それは魔法の解決手段ではない。むしろ今のテクノロジーでも、各々の不完全さに目を向け、想像力を働かせて社会を繋いでいけば、みんなが生きやすい世界に少しずつ近づいていくだろう。2022/11/24

くさてる

25
それぞれ障害当事者である二人の人物による往復書簡にも似た、障害と生活、自身の人生、それぞれの生きる世界で当事者である現実がもたらすこと、科学と技術の発展で生まれるもの、などについての文章と対談が収録されている。正解がない問題、或いは当事者ひとりひとりによって違う答えが準備されている問題、なのかもしれない。けれど、それで終わらせてしまうと、社会全体の問題としてとらえることができなくなる。メディアも政治も含めて。障害を考える上での大事な視点のひとつを知りました。2023/12/03

マイアミ

10
★★★★★ 久しぶりに価値観の揺さぶられる一冊だった。自分の中にある偏見や先入観感に気づかされた。障害を持つ二人が障害とテクノロジーなどについて交互にコラム形式で語っている。障害を根絶する社会を目指そうとする非障害者の視点とそれをあると受け入れて社会を構築していくべきと考える障害者との、溝、ズレが浮き彫りになっていた。特にプラスチックストローの件は衝撃を受けた。ダイバーシティとは何なのか、改めて考えさせられたし、障害者一人一人のニーズも違うことがよくわかった。目から鱗が落ちっぱなしの本と出会えて感激。2023/01/27

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