内容説明
質も量も劣る対抗兵器をもって押し寄せる敵機群に立ち向かう! 死力をつくして戦いながら、敗れ去った日本航空部隊。B-29と直接相まみえた将兵たちの苦闘を描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
すしな
32
061-25.日本人は攻撃を得意とする一方、防衛面では情報や体制整備が遅れたとの指摘が印象に残りました。当時の戦闘機というと零戦が有名ですけど、陸軍が基本的に本土防衛を担い、飛燕や屠龍などの機体が活躍した事実も新たな発見でした。また一方的に日本が攻撃を受けていた印象でしたけど、B-29側も神風と同じぐらいの死傷者を出していたというのも意外でしたが、犠牲を覚悟で継続しつつ、同時に海上封鎖をして日本に資源が来ないようにしたとのことで、現代日本の安全保障や海上輸送の脆弱性を考える契機となりました。 2025/08/14
roatsu
15
名著・死闘の本土上空の増補改訂版。先次大戦での日本陸海軍本土防空戦顛末を、初版執筆時ご存命だった多くの元将兵達への取材や残された貴重な公私の記録を基に時系列で詳細に描き出す。残っていることに驚く彼我の兵器機材、実戦場面や将兵達を捉えた写真や、軍管区制等の我が軍組織図、各戦場の図示など視覚資料も豊富に収録され理解を助ける。増補改訂ということで昭和19年6月15日深更の北九州に対するB29群初来襲と二式複戦屠龍でこれを邀撃した陸軍飛行第四戦隊の緊迫した暗夜の空戦を描く冒頭の章でも、四戦隊各機が空戦中に発した無2022/09/19
もっぱら有隣堂と啓文堂
5
1979年刊行で4回目の改訂でNF文庫に。体制、機材、装備、作戦、結果その他もろもろを網羅した日本本土防空を語る決定版だろう。最終章で敗因が総括されていて、最後まで陸海軍が協同できなかったこと、攻撃偏重で守りを軽視したこと、高高度戦闘機やレーダーを開発できなかったこと、本土爆撃を想定していなかったこと、B29が飛んできたこと、大局的な視点からは国力の差であったこと。もっとも装備が整備され、B17やB24やランカスターが相手だったとしても最終的に敗北したであろうこと。為政者が先を見通せないのはわが国の伝統か2022/09/16
ひめの
3
再読。バトルオブブリテンを見たあとでは、レーダー等の防空設備の不足や航空機の量産体制の差を思い知らされる。しかし、前線の搭乗員たちは優勢の戦闘機や高高度をとぶB29に対して試行錯誤し、文字通り決死の覚悟で戦ったことが伝る。B29のような巨大で高空を高速で飛ぶ機体に果敢に食らいつく闘志は目を見張る。また、一年以上に渡り粘り強く戦闘を続ける点でも熱意がかいまみえる。ただ、彼らの奮闘むなしく各都市は焦土と化し、敵機がゆうゆうと本土を飛び回る結果となったのは屈辱を隠せない。本書は防空戦の実情を詳しく描写された良書2025/09/10
大森黃馨
3
渡辺洋二叢書と私が勝手に名付けたシリーズその氏の最初の著作の最新改訂版白眉は資料の孫引きで纏めたのではなく当時今だ御存命であった太平洋戦争当事者への取材を元にした方々の体験生々しい声がベースである事(巻末の取材協力者一覧に出てくる御名前何と豪華絢爛な事か)先の戦争の我が国本土への空襲をコンパクトに通史的に知りうる手頃な教養書 難点は何しろ初版は約40年前に書かれたものだけに太平洋戦争の日本側関係者の相手国の実情はこうに違いないという無根拠の思い込みの部分それがそのまま反映されている部分も多く (続く) 2022/09/02
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