内容説明
幼いころに徳川家康の家臣・服部半蔵に命を救われた瑠璃。
その時、半蔵が見せた薬草の使い方に興味を持ち、
保護された村で出会った師匠から本草学の書籍をもらい受け、薬師になる夢を膨らませる。
その後、家康の祖母に小間使いとして仕え、本草学の知識を生かして体に良い茶を煎じる日々を過ごす。
半蔵もそんな瑠璃を気にかけ、何度も様子を見に来ていた。
一方、今川家での人質として暮らしに鬱屈していた松平元康(徳川家康)。
今川義元の姪(瀬名・築山御前)との望まぬ婚姻が決まり、その報告に祖母の家を訪れる。
そこで、出会ったのが小生意気な少女・瑠璃だった。
その後、時代は流れ、桶狭間の戦いを経て戦国大名へと昇り詰めていく家康。
しかし、決して安穏な日々ではない。武田信玄による三河侵攻、織田信長からの圧力・・。
そして重要性を増す瑠璃の師匠がもつ各大名の病状と処方箋を記した覚書の存在。
心労の絶えない家康の傍らで瑠璃は茶をそして薬を煎じて支える。
戦国乱世において、家康の体調や精神を支え、共に歩んだ女性の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
タイ子
89
読み易い家康の半生の物語。作品は家康の歴史を追いながら、その中で登場する服部半蔵や家康の正室、側室たちの戦国乱世を生きる姿を描く。半蔵に命を救われた一人の少女・瑠衣。保護先で出会った本草学の師匠から薬師として生きる術を学ぶ。薬嫌いの家康が瑠衣によって薬の大切さを知って行く。戦を嫌う瑠璃と、戦を嫌いながらも生きるために戦い続けなければならなかった家康。家康をめぐる女性たちの姿もいいが、瑠衣の師匠である永田徳本がこれまたいい。牛にまたがって登場だもの。歴史小説の家康とはまた違った視点で読めるのも面白い。2023/04/18
kayo
31
歴史&武将音痴に易しいお話。もっと早く読んでいたら、「どうする家康」を楽しんでいたかも。歴史通の方には戦国時代の女子供に何が出来ると訝しむ方もいるでしょう。薬師を目指す瑠璃の目を通して見る家康を取り巻く人間関係、太平の世を造って欲しい瑠璃の願い、彼女が薬師としての成長が史実に上手く取り込まれて面白く読めました。女は家を存続させるための道具で、家康の正室の瀬名はじめ、あちこち嫁がされた信長の妹や娘が気高くも哀れ。裏切りや無用な殺生なんでも有りの時代に苦しむ家康に、寄り添う瑠璃の活躍が続きそうなラストでした。2023/08/14
fuku3
29
2023.3.5読了。服部半蔵に命を救われた幼子瑠璃は本草学に興味を持ち将来は医師になる事を夢見る!家康の母親於大の方に仕え後に家康の薬茶局として常に家康に体に良いお茶を作り心身共に家康を支えた…。何と云っても本作のキモは築山御前.信康の謀反である!今年の大河の築山と家康は仲睦まじすぎで有村架純が可愛い過ぎで有る!やっぱり築山は今川の出を鼻に掛け三河の家康を田舎者と見下し!今川義元の仇である信長を忌み嫌い!家康との夫婦仲は完全に冷め切り!家康も困りはてる!そこに武田の間者が⁉︎それを徳姫が信長に言付ける!2023/03/05
kanki
27
医学に影響する、戦国時代の政治。女性の薬師はいたのか?服部半蔵は忍者だが、感情もあったのかな2023/08/19
お涼
26
今川家の人質になっていた元信(家康)。鬱々とした日々を過ごすなかで、服部半蔵が助けた瑠璃という少女に出会う。薬師になりたいと言う瑠璃に家康は「夢など持つだけ無駄だ」といい放つ。表紙からは想像していなかった流れに少し戸惑う。でも家康の苦悩が痛いほど伝わってくる。2023/05/04




