内容説明
「つかぬことをうかがいますが、こういう手の動きはなんなのかわかりますか?」――通り魔に襲われて亡くなった女性・清藤真空。その最期を看取った人材派遣会社の社員・棚橋は、死の間際の彼女のメッセージの意味を知るため、真空にゆかりのある人々を訪ねてゆく。建築士、音大生、児童養護施設の園長……。真空が遺したのは「きらきら星」だった。そのメロディに導かれるように、それぞれの人生模様が交錯し、真空のこれまでの人生と想いも次第に見えてきて……。人の優しさに触れる癒しと再生のミステリー。
目次
前奏
第1変奏 お手をどうぞ
第2変奏 一級建築士・神崎誠の熱情
第3変奏 H氏のスティング
第4変奏 亜麻色の髪の乙女
第5変奏 音大生の鐘は鳴る
第6変奏 木枯らし
第7変奏 愛の夢
後奏
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のんちゃん
38
派遣社員の清藤真空は通り魔に遭い亡くなる。彼女の所属の派遣会社社員の棚橋はその場に居合わせ、彼女の最期の思い、ある指の動きを目にする。それが何を意味するのか棚橋は、生前彼女と関わりのあった人々に会いに行き、それを探る。その行き先々で棚橋は彼らの生き方も変えていくという優しいミステリー。新年早々、涙する読書となった🥲指の動きは『きらきら星』を鍵盤で弾く動き。壮絶な経験を自身も通っている棚橋の言葉の数々が、この殺伐とした世の中にいる登場人物や私に響く。私も誰かのきらきら星になれると嬉しい。良書でした‼️2023/01/05
ベローチェのひととき
18
妻から廻ってきた本。表紙の絵がちょっと怖い感じだったのでホラーミステリーなのかなと思ったが、なんのなんの心暖まる優しい物語でした。通り魔に襲われて亡くなった真空の最期を看取った棚橋は、真空が死ぬ間際に遺した指の動きのメッセージの意味を解明するために真空と関わりのあった人達に数珠繋ぎ的に会っていく物語。りみあさんがとても印象的でした。棚橋さん、お疲れ様でした。2023/01/14
み
16
連作短編集、温かい空気でした。ジャケが、ちと怖い印象ですがね。2024/01/03
コチ吉
8
鮎川哲也賞受賞の作家だが、初めて読んだ。ミステリ要素はほんの味付けであり、物語は、真空と棚橋という二人をテーマにした変奏曲というタイトル通りの趣き。二人の思いが、残された人々の今後の生き様の中でさらに変奏を遂げていくのだろう。2023/02/16
Mayrin
8
関係する人々の優しさが詰まった本でした。2022/11/29