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内容説明
英語ができるようになりたい! 幕末に「半文明人」として西洋に蔑視された日本人は、懸命に英語を学び近代化を成し遂げる。そこには挫折と希望が交錯した紆余曲折の物語があった。独学に励む若者、日本人にふさわしい学習法の模索、辞書編纂者の苦闘、教科書の中の戦争と平和、名・珍英語参考書の数々、英会話ブーム、小学校英語への賛否、グローバル人材育成や入試改革の是非――英語教育史研究の第一人者が、日本人と英語の悪戦苦闘の歴史をたどり、未来を展望する決定版。
目次
はじめに/第1章 「半文明人」から脱却せよ/1 英語と日本人の出会い/英語の襲来/幕府、英語修業を命ず/ついに英語ネイティブ教師がやってきた/英語が外交・通商用語に/幕府の英和辞典/ヘボンの和英辞典/2 文明開化は英語から/「半文明国」ニッポン/明治知識人の苦悩/都々逸にまで英語/鹿鳴館時代の英語ブーム/3 小中学校に英語がやってきた/最初の小学校英語ブーム/小学校英語をめぐる賛否両論/初期の中学校は外国語学校のよう/中学校英語授業のリアル/英語教授法を改革せよ/日本人にとって英語は難しい/4 文豪たちの英語力/英語と近代日本文学/夏目漱石も英会話が苦手?/島崎藤村の英語的文体/5 「半文明人」脱却の光と影/「半文明人」からの脱却/脱亜入欧とアジア蔑視/英語による二重の「地位上昇」/第2章 日本人にふさわしい英語学習法を求めて/1 立身出世と独学の鬼/なぜ英語を学ぶのか/未来を拓く英語の独学/小学校卒で大学教授になった田中菊雄/辞書の鬼・入江祝衛/豆腐屋をしながら教授への資格を得た柴田徹士/2 英語名人たちはどう学んだか/英語名人の学習法を探れ/第一位は多読/精読も大切だ/ネイティブの利用と暗誦/文法・音読・英作文の攻略法/学習法は目的・個性に合わせて/学習法を超えた内村鑑三『外国語之研究』/市河三喜の壮絶な英語学習/英語を学べばバカになる?/3 受験英語と英文解釈法/学習英文法と英文解釈法のすごさ/定番の英文解釈問題/入試によく出た作家/語彙を増やすには/第3章 英語廃止論と戦争の逆風にめげず/1 英語なんかいらない!?/欧化から国粋へ/明治の英語教育廃止論/「世界五大国」にのし上がった日本/英語教育をやめてしまえ!/2 コミュニケーション英語は必要か/「実用英語」を求める経済界/英語教育改革にカネを出す財界人/会話重視は日本人にふさわしいか?/英語は生活言語か学習言語か/小学校の生活英語、中学・高校の学習英語/英語は第二言語か外国語か/先人のまっとうな英語教育論/3 戦争と英語/教科書の中の戦争と植民地/反戦と革命のプロレタリア英語/女子に英語はいらない!?/英語敵視の社会で/大東亜共栄圏のための英語/敗戦の一因は陸軍の英語軽視/第4章 だれもが英語を学べる時代に/1 焼け跡の中の英語/アメリカ英語ブームへ/敗戦後の女性・子ども・政治家/英語の勉強は「戦争に負けたから」/小学校でも英語が盛んに/義務教育化する中学校英語/2 英語教師を再教育せよ/教科書に墨を塗らせた教師たち/英語教師が足りない!/現職教員の力量を高めよ/テント村で英語教員養成/3 アメリカの戦略と経済界の要望/日本人を親米化するアメリカ/英語教育改革を求める経済界/英文学と英文学科は絶滅危惧種?/4 多様化する英語の学び/大学受験ラジオ講座/テレビ英語講座/学校に浸透する英検/同時通訳者という魔法使い/第5章 グローバル化とAI時代の英語/1 国際化とコミュニケーション英語/強まる国際化、高めよ会話力/一九七〇~八〇年代の英語教育改革/国際ビジネスにTOEIC/TOEICで英語コミュニケーション能力は測れない/英語は実地に使ってみないと/2 「英語が使える日本人」か「受験英語」か/グローバル化へのあせり/「英語が使える日本人」育成構想/国の目標設定が忖度を広げる/変わる受験英語/英語参考書の新旧交代/参考書も音声とネット接続の時代に/3 グローバル人材育成という無理難題/グローバル人材育成という国策/大学入試にTOEFLの衝撃/英語教育、迫り来る破綻/「大学入試に英語民間試験」の破綻/学校の英語がたいへんな事態に/4 ポストコロナ・AI時代の外国語学習/協同的な学びで英語力を伸ばす/AI時代に外国語を学ぶ意義とは/デジタル・AIとどう付き合うか/デジタルの落とし穴/未来への希望/おわりに/主要参考文献
感想・レビュー
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