ちくま新書<br> パワハラ上司を科学する

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ちくま新書
パワハラ上司を科学する

  • 著者名:津野香奈美【著者】
  • 価格 ¥935(本体¥850)
  • 筑摩書房(2023/01発売)
  • 2025→2026年!Kinoppy電子書籍・電子洋書全点ポイント30倍キャンペーン(~1/1)
  • ポイント 240pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480075345

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内容説明

「パワハラとは何か? どうしたら防げるのか?」―― 実は、多くの人がわかっていない。著者は、パワハラ測定の尺度を開発し、誰が行為者になり、どのような性格特性の上司がパワハラしやすいかを10年以上にわたり研究。科学的データを基に、対策を実施してきた。「仲がよければいい」「関わらなければいい」など、多くの人がやってしまっている誤った対応を明らかにし、本当に防ぐにはどうすればいいのかに迫る。

目次

はじめに/第1章 パワハラとは何か/1 パワハラの定義と判断要件/「改正労働施策総合推進法」におけるパワハラの定義/パワハラの六類型/事業主に義務付けられた雇用管理上の措置と罰則/パワハラの判断方法/2 パワハラの発生状況/厚生労働省による調査/新しいハラスメントの台頭:リモートハラスメントとテレワークハラスメント/男性と女性では、どちらがよりパワハラを受けているのか/パワハラ対応の男女差/第2章 誰がパワハラをしているのか/1 パワハラ行為者の職位/行為者の七割が「上司」/どのように聞くかで、パワハラを受けている人の割合は大きく変わる/2 なぜ、上司はパワハラをしてしまうのか/人は優越性を得ると横柄になる/3 パワハラ行為者の性別/パワハラ行為者には女性よりも男性が多い/なぜ、パワハラ行為者に男性が多いのか/(1)管理職に男性が多い/(2)男性の方が攻撃的な行動を取りやすい/(3)〝有害な男らしさ〟の影響を受けている/(4)男性の方が相手の感情を読み取りにくい/(5)パワハラ行為を行いやすい性格傾向を持つ人が男性に多い/4 パワハラ行為者の性格特性/ビッグ・ファイブ・パーソナリティーとヘキサコモデル/いじめとパワハラ加害者の性格傾向/邪悪な性格特性:ダークトライアド/組織に「邪悪な性格特性」を持った人がいるとどうなるのか/管理職登用の際に、邪悪な性格特性を持つかどうかをスクリーニングする/なぜ社会は、「邪悪な性格特性を持つ人」を評価してしまうのか/ダークトライアドとパーソナリティ障害/反社会性パーソナリティ障害/自己愛性パーソナリティ障害/5 パワハラ行為者の個人特性に着目したパワハラ対策/(1)パワハラ行為者に「自ら気付いてもらう」という幻想を捨てる/(2)文書で注意を行う/(3)管理職への登用の際、性格傾向にパワハラ気質がないか確認する/第3章 パワハラを引き起こす上司の三大リーダーシップ形態/1 破壊的リーダーシップ/破壊的・建設的リーダーシップモデル/組織には損害を与えるが、部下に対しては〝破壊的〟でないリーダーシップ形態もある/2 脱線型の上司/脱線型リーダーシップとは/3 専制型の上司/専制型リーダーシップとは/会社の方針や施策が、専制型リーダーシップを奨励している場合がある/破壊的リーダーシップを発揮させる毒の三角形/専制型リーダーシップは、長期的には部下のパフォーマンスを下げる/なぜ専制型上司からのプレッシャーや要求度が高いと、部下は疲弊していくのか/なぜ専制型上司は部下の自尊心を傷つけるのか/恐怖と不安のマネジメントは、不正行為や逸脱行為を増やす/4 放任型の上司/放任型リーダーシップとは/日本に多い放任型・消極型上司/パワハラ防止研修が、放任型上司を増やしている/上司が放任型だとパワハラが新規に発生しやすく、部下もメンタルヘルス不調になりやすい/放任型リーダーシップがパワハラ発生につながるメカニズム/専制型上司の上に放任型上司がいる職場が、最も危ない/第4章 なぜパワハラは起こるのか──パワハラが発生するメカニズム/1 個人的パワハラと構造的パワハラ/2 個人的パワハラの発生要因/(1)自尊心が不安定に高い/米国におけるセルフ・エスティーム・ブーム/顕在的自尊心と潜在的自尊心/(2)感情知能が低い/(3)自分の言動が他者にどのように影響するか認識ができていない/(4)他者に対する期待水準が高い/(5)厳格な親タイプ/3 パワハラしやすいタイミングはいつか/新しくパワーを得た時/ストレスが高い時/4 いじめ・パワハラの発生と進行過程/神戸市教員いじめ・暴行事件から見るパワハラの進行過程/暴走するパワハラ行為者を止めるのは管理職の責任/5 構造的パワハラ/人が集団である限り、差別や排除は必ず起きる/ソーシャル・キャピタルとパワハラ/発達障害者へのパワハラ/日本の全制的施設的職場/6 パワハラを誘発させる職場環境はどのようなものか/要求度やプレッシャーの高い職場/役割葛藤・役割の曖昧さのある職場/冗談やからかいを容認している職場/「男らしさ」が求められる職場/体育会系職場/パワハラが起こりやすい職場チェックリスト/第5章 パワハラ上司にならないためにはどうすればいいのか/1 「部下と自分は対等な同僚だ」と認識する/上司が持つ「横柄さ」「傲慢さ」を手放す/部下が抱えている困難に耳を傾ける/2 安定した自尊心を持つ/運動による自尊心向上効果/3 感情知能を高める/上司の感情知能が高いと、個人にも組織にも良い影響がある/感情知能の構成要素/(1)自己認識力/感情の自己認識/正確な自己評価/(2)自己調整力/感情の自己抑制/感情の自己調整力に関わる他の要素/感情の自己調整力を高める方法/(3)社会認識力/(4)関係調整力/4 ストレスにうまく対処し、体調を整える/5 世代間・文化間のギャップを認識する/上司世代と部下世代のモチベーションギャップ/部下世代は「承認」を求めている/日本人労働者と外国人労働者のギャップ/日本の職場で「当たり前」に行われていることが、外国人にとってはパワハラとなる/6 個別配慮型リーダーシップを発揮する/マネジメントとリーダーシップの違い/リーダーシップは難しいものではない/個別配慮型リーダーシップとは/(1)部下の長所を伸ばせるように助ける/(2)部下一人ひとりが違うニーズ、モチベーション、スキル、キャリア展望を持っていることを頭に入れて接する/(3)単なる集団の一員としてではなく個人として接する/7 部下に耳の痛いことを伝えるにはどうしたらよいか/(1)周りに人がいない状態で行う/(2)ほめられる点・できている点を先に伝える/(3)人格否定をせずに何をどうしてほしいのか伝える/おわりに/参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

はっせー

76
パワハラについて勉強したい人やうちの会社ってパワハラ気質なのかもって疑問に思っているひとにおすすめの本になっている!パワハラ。ここ数年で定着した言葉。ですがなにがパワハラでなにが指導なのかわからないひとも多いと思う。パワハラの定義からパワハラの種類・パワハラになりやすいリーダーシップやパワハラ対策まで網羅的にこの本は書かれている!読んでみて思うのは自分のことしか考えられずに部下や他人のことに想像できない人がパワハラに陥りやすいのかなって思う。私の上司もパワハラ気質あるなーって思ったので対処しよう!2023/06/20

ひと

43
パワハラに学術的に向き合う研究者による一般向けの本。どのような環境で、どのような人がパワハラを行いやすいのかが根拠をもって整理されています。自分の現在および過去の職場や同僚を当てはめながら読んでみると、納得できる部分、リスクを感じる部分が多かったです。周囲や他人の評価だけでなく、自分を客観的に見る目線も与えてくれていて、無自覚にパワハラしないよう注意喚起の効果もありますね。職場も多様化が求められる中、いわゆる日本の会社に馴染んでしまった身には変化に耐えられるか心配ですが、あきらめずに向き合うべきですね。2025/02/16

ちゅんさん

42
4月から不本意ながら管理する立場になってしまったのでこの本を読む。とても勉強になった。管理職の皆さんは一読をおすすめします。早速この本を参考に部下と面談を行いました。これから折に触れて読み返したいと思う。2024/04/20

井月 奎(いづき けい)

38
ハラスメントやいじめは人の世が続く限りなくなりません。それは人の本能から生まれることもあるからです。ではこういう本は無益でしょうか?いや、とても有益です。アドバイスする時に心のコントロールが上手くできない、言葉選びが拙いなどが原因となりハラスメントにつながることも多いと思います。その境界にいる人が踏みとどまるために、そしてうまく歩くためにこういった本は必要なのです。そして本書は良書と言っていい内容で、ハラスメント防止のみならず管理職やリーダーなどのマネジメントの能力向上のヒントも多く指南してくれています。2024/08/05

うえぽん

26
読書会を主宰していた方が読んでいたためチョイス。官民問わず日本の中間管理職の必読書との感想。新書には珍しい265点の参考文献を含め、千本以上の論文のインプットを放出したとの本人評から分かるが、極めて注意深く、様々な研究成果を一般人に知識と実践手法として伝授することを狙ったものと理解。ダークトライアドと言う邪悪な性格特性があること、パワハラを引き起こす反部下and/or反組織の3種のリーダーシップ形態、全制的施設の職場環境、上司世代と部下世代のモチベーションギャップなど、新たに認識できた科学的分析が満載。2023/10/11

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