内容説明
私立探偵、姫崎智弘の元に、報酬一千万円という破格の依頼が舞い込んだ。依頼主は情報工学の権威、北神伊織博士。なんと依頼日である今日、2018年6月1日は、すでに千回近くも巻き戻されているという。原因を突き止めるため、姫崎を含めたメンバーは、巻き戻しを認識することができるという薬剤を口にする。再び6月1日が訪れた直後、博士が他殺死体で発見された……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
36
私立探偵・姫崎智弘の元に舞い込んだ報酬一千万円という破格の依頼。6月1日がすでに千回近く巻き戻されている原因を突き止めるため、姫崎を始めとするメンバーが巻き戻しを認識することができる薬剤を口にするミステリ。情報工学の権威・北神博士によって集められたメンバーたち。そこでの思ってもみなかった再会と、巻き戻された先で他殺体で発見された博士。博士を殺したのは誰なのか、疑心暗鬼に陥りかねない状況の中で、思ってもみなかった犯人の動機があって、甘酸っぱくて切ないもどかしさも絡めながら迎える結末はなかなか良かったですね。2023/01/17
せっちゃんさん
23
タイトル気になって読んだら面白かった!同じ日が繰り返しされるタイムリープ系だけど、設定の面白さと原因のSF要素。誰が・どうやって・何の目的でタイムリープするのか?なかなかの説得力。ある意味に未知との遭遇的展開も、科学系好きとしては受け入れOK。結局は、この現象を悪用したのが"時空犯"な訳だけど、その犯行動機も成る程ね…。話の肝がタイムリープの原因=SFにあるのでそこ楽しめない人は面白味減かも。特殊設定ミステリーとしても楽しめた。2024/08/23
おうつき
22
タイムリープ×本格ミステリは今となっては手垢のつきまくったネタではあるが、今作ならではの要素が織り混じった新しい形の特殊設定として楽しめた。途中の展開が荒唐無稽に感じられ、これは果たしてミステリとしてまとめられるのかと疑問が生じたが、終盤は現実的なロジックですっきり。主人公とヒロインのもどかしい恋愛要素や、無駄に察しの良い関西弁のおばちゃんを始めとした個性豊かな登場人物など、気楽に読める要素が盛りだくさんだったのも良い。前作同様細かい設定の雑さはあるが、そこはそういうものだと許容した。2023/09/02
にゃるび
18
同じ日を1000回以上繰り返すタイムループもの。ミステリでは出尽くした設定と思いきや、そもそもタイムループするかどうかが不確定なところが面白い。タイムループをここまで理論立ててるのもすごい。かと言って難解ではなく独特のスピード感もあって読みやすかった。ミステリ部分は逆にシンプル。惜しいのは人間模様がどうもラノベ的で何となくチープに感じてしまった所。まぁそこを深掘りしてしまうと収拾つかないのでしょうがないところもありますが。2023/06/25
じーつー
15
報酬の対価は1000万円。 その実験はタイムリープを観測するもの。 主人公の姫崎を含む被験者らは服用することでタイムリープを体験するが、彼らが体験する1回目のタイムリープは北神博士にとっては980回目のものだった。 980日も同じ日を繰り返し続ける。 『今日』が残らず『明日』も『今日』になることが分かっていれば無責任に楽しい1日も過ごせそうだけど、それが980日も続いたら頭おかしくなりそう。 2年半以上もの時間を繰り返すなんて。 読後感は良く、もう一つ先の展開まで読みたい気持ちも心地いい。2023/04/21