講談社選書メチエ<br> 戦国日本の生態系 庶民の生存戦略を復元する

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講談社選書メチエ
戦国日本の生態系 庶民の生存戦略を復元する

  • 著者名:高木久史【著】
  • 価格 ¥2,145(本体¥1,950)
  • 講談社(2023/01発売)
  • 2025→2026年!Kinoppy電子書籍・電子洋書全点ポイント30倍キャンペーン(~1/1)
  • ポイント 570pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784065306819

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内容説明

戦国時代の主役は大名でも武将でもない!
ヒトとモノのエコシステム=生態系が、中世日本のダイナミックな変動を生み出した!

戦乱が多発したのみならず、寒冷化という気候変動もあって、当時の列島は生物種としてのヒトにとって、きわめて生存が厳しい環境であった。
そのような「戦場」を、庶民たちはどのようにしてサバイバルし、時代を動かしたのか?
本書は、戦国日本とはいかなる時代であったのかという問いに対し、庶民の主体的な行動が歴史の動因であったことに注目して、ひとつの答えを示そうという試みである。

海・山の動植物が織りなす生態系と、そこから恵みを得て生活を営む人々の社会システムを一つの系としてとらえ、戦国の動因を描き出す、斬新な〈生態学的アプローチ〉による中世史像!

【本書より】
考えてみれば、信長や秀吉など英雄たちが「新しい世の中」をつくるために行ったとされるさまざまな政策やドンパチやった戦争は、結局のところ、庶民がそれに従ってくれたからこそ成り立っており、また、庶民が生業を営む中で生産し供給するさまざまな財やサービスを消費することで成り立っていた。徴税は庶民が納税してくれるからこそ可能だし、戦争は庶民が食糧や武器などを生産し供給してくれるからこそ可能である。

【主な内容】
はじめに たくさんの「久三郎たち」の歴史
序章 生存戦略、生態系、生業――越前国極西部
第一章 山森林の恵みと生業ポートフォリオ――越知山
 山森林の生態系の恵みと多様な生産/資源分配をめぐるせめぎあい/柴田勝家と森林史の近世化
第二章 「海あり山村」の生存戦略――越前海岸
 生業は海岸部だけで完結しているか/海の生態系のさまざまな恵みと技術革新/行政権力が生業技術を求める
第三章 工業も生態系の恵み――越前焼
 大量生産化と資源分配―考古学的知見が語る生産戦略/売る、組織整備、新アイテム――記録が語る生産戦略と近世への助走
第四章 戦国ロジスティクス――干飯浦と西街道敦賀
  馬借たちの生存戦略と競争/水運業者たちの生存戦略と広域的な経済構造
終章 「久三郎たち」の歴史、ふたたび
凡例
参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

六点

112
戦国時代の越前国西部を舞台にした、庶民の生業史を地質学から始まり多様なポートフォーリオから「生態系における生活」史として再構成したものである。フランスの歴史学派であるアナール学派の影響を強く受けた手法である。近世に入ると結構資料の残存性が高いため、また民俗として高度成長期まで行われていた物が多いため、復元が容易であるのだが、中世末期でもこれだけの復元ができるのだと知り感動した。もう少し典拠となった資料が読みたいのだが、矢張り博論読みなせいということになってしまうのであろうか。2023/03/01

パトラッシュ

104
戦国期の越前国西部を舞台に、事件史や人物史ではなく民衆の生活文化を重視するフランスの歴史学派アナール派の手法で解析する。農林水産業や工業、運送業などに携わる人びとが、それぞれの仕事を「最適化」する努力に焦点を当てて時にせめぎ合い、あるいは協力し、武士に従ったり叛いたりを繰り返しながら、したたかに生き抜く姿を生態系と規定する。生存が難しいな乱世だからこそ、衣食住を得るため必死で生業に頑張ることで社会システムが形成されたのだ。これに一向宗など宗教勢力の動向を加えれば、より鮮明に当時の生き様が見えてくるのだが。2023/02/27

さすらいの雑魚

44
本書の語る、自然資源の利用と再生を巡る、庶民の生業と戦国大名政府と領主層の相剋と均衡を頭に入れて歴史物(戦国に限らず)を読むと違う世界が広がります。庶民がしぶとい😁税と労役をを人質に、地元の領主や大名政府とハードなネゴを差引きし、支援を引き出したり権威を利用したり、既得権益守り他人の権利を侵しと、もう庶民やりたい放題。兵乱と飢饉が繰り返す過酷な時代に、喰えるものは総て食い、使える物なら武士も坊主も使い倒し、農業や漁業に拘らす何でもやって、とにもかくにも生き残る庶民の逞しい躍動を鮮やかに炙りだす良書です。2023/05/07

MUNEKAZ

22
越前国極西部を舞台に、戦国時代の庶民の「生業」を復元した一冊。著者が福井県で学芸員をしていたときのフィールドワークが生きており、文献史学以外にも考古学や日本海側の植生にも目を配った記述は面白い。本書の強調するのは3点。①庶民は生態系から受ける恵みと制約に応じて、複合的に生業を営んだ。②他の社会や市場との関係にも留意した。③行政権力と相互依存の関係を築いた。どれも「自給自足」や「虐げられた民衆」というイメージを更新する生き生きとしたもの。京や鎌倉といった大都市に住む人々以外を見つめているのが良い。2023/01/23

bapaksejahtera

21
福井県越前町で研究生活を送った著者が、同地に残る史料を駆使して戦国時代朝倉氏支配下の庶民の多様な生業を生態学的アプローチにより分析する。戦後のマルクス史観の影響は、戦国武士層の抑圧下で呻吟する人民の姿を植付けた。しかし支配層は圧倒的な強制力を伴う綿密な行政組織を有する訳ではなく、民衆の構成する組織間の合意を追認し、彼ら自身の強制力に依存するに過ぎない事が判る。先進地であるが農業漁業共に生産力の低い地域を例とし、全てが全国に妥当する事はなかろうが、農業林業漁業運送業窯業等多様な産業の黎明期について知見を得た2023/06/10

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