内容説明
逃げるはふつうに役に立つ!?
韓国に流れ着いたイエメン難民に会うために済州島に渡り、スペイン・フランスではカタルーニャの音楽家パウ・カザルスとドイツのユダヤ系作家ヴァルター・ベンヤミンの亡命行を辿った。牛久入管収容所で難民申請者の絶望を目の当たりにし、祖国を追われたウクライナ人とはディズニーシーでビールを飲み交わす。時代も場所も異なる人びとの「逃げる技法」――それは、彼らの生きる知恵であると同時に国を守る術でもあった!?
銃で国を守るのではなく、逃亡者の傍らで平和を生きる。そんな呼びかけが戦争の時代に胸を衝いた――東浩紀(批評家)
逃げていいぞ逃げていいぞ逃げていいぞ逃げていいぞ逃げていいぞ逃げていいぞ逃げてくれ――本書より
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kan
19
「逃げる」行為と道のり、逃亡先での逡巡や故郷への思いが散文調に綴られ、紀行エッセイ風の思想書という印象を受けた。著者は楽器を手に逃亡の道のりを辿り、避難民の話す言語を学び時に日本語を教え、共に歌い、迷い、ビールを飲み交わす詩人だ。ウクライナ避難民と共にウクライナ愛国歌を演奏するシーンでは目頭が熱くなった。私も、うちのクラスに転校してきた生徒と、日本語とウクライナ語の片言同士で話せるように少しでも学べばよかったなと後悔。お互いに楽な英語に逃げたけれども、母語の使用は心を近づけることを著者はよくわかっている。2024/10/19
Koki Miyachi
4
世界的な問題である移民にフォーカス。筆者の真摯な問題意識のもと、意欲的な取材をベースにした問題提起の書。2023/05/02
金北山の麓で育って
2
【思想的にも内容的にも稚拙幼稚かもしれないが....】紀行文として読めばそれほどおかしな内容でも本ではない、「反日街道」で興味をもって読むと韓国は色々な興味の一つなのでこちらが著者の実像に近く、そしておそらくこちらは「反日街道」より売れなかったろうなぁと思った2024/07/21