内容説明
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アンパンマンの作者が体験した戦争。
2013年10月13日に94歳で亡くなった漫画家で『アンパンマン』等の絵本作家、詩人でもあるやなせたかしが自らの戦争体験を語った本。やなせは昭和15(1940)年の春に召集を受け、小倉の野戦銃砲部隊に入隊。召集期間満了直前の昭和16年12月8日の開戦により、召集延長に。その後、中国戦線に派遣され、上海郊外で終戦を迎えた。やなせは、自伝などの中で戦争のことを簡単には語っているが、戦争体験だけをまとめて語るのはこれが初めて。人殺しも団体生活も嫌だったというやなせにとって、軍隊はばかばかしいだけの世界。しかし、辛い中にも何か楽しみを見出してゆく持ち前の性格で、戦争と軍隊を内部から風刺していく。特攻に志願した弟との別れなど、辛く悲しい思い出にも持ち前のユーモアを交えながら語る笑いと涙の戦記になっている。嫌いな戦争のことはあまり語りたくないと考えていたやなせが、90歳を超え、戦争体験、軍隊体験を語り継ぐことで、過去の戦争のことが未来を生きる世代の記憶に少しでも残ればいい、と亡くなる直前まで語ったラストメッセージである。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のぶのぶ
28
「アンパンマンの中で描こうとしたのは分け与えることで飢えはなくせることと、嫌な相手とでも一緒に暮らすことができる。」、国語の教科書にやなせたかしの話がのっている。教科書では、戦争、軍隊にいたときの様子が詳しくないので、その部分を補うことができた。中国の福州に行ったことで大きな戦闘には巻き込まれていないようだが、福州から上海近くの朱渓鎮まで、毎日40km歩くのは大変だったのだろう。空腹との戦い、マラリアになった経験は大変だったことだろう。その中でも、自分の得意なこと(絵)を活かして生活していたことを知る。2023/01/07
金吾
28
軍隊にはいる気がなかった兵士の感想がよく伝わります。純粋培養で偉くなり、そして堕落する人は本当にたちが悪いと思いました。また戦争好きな人は兵士にはいないのではと思いました。2022/12/26
えりまき
15
2024(133)2013年刊行「ぼくは戦争は大きらい やなせたかしの平和への思い」の新装版。私も戦争は大きらいです。「アンパンマンとばいきんまんは、食べ物とばい菌です。だから、仲良くしてもらっては困るのです。それでも、彼らはマンガの中でともに生きています。」 2024/05/13
ムーミン2号
15
『アンパンマン』の生みの親、「手のひらを太陽に」の作詞でも知られる高知県出身のやなせたかしさんは、昭和15年から終戦まで、中国で軍隊生活を経験されている。90歳を過ぎて初めて語った戦争体験だが、激戦地での戦争とは少し様相が異なる。召集され、軍隊に組み込まれて、送り出された先で、運命は随分異なることもよくわかるし、引き揚げも様々だとわかった。それでも融通の利かない軍隊、理不尽な軍隊は(多分自由人だった)やなせさんには相当イヤなものだったのだろうと想像ができる。本書も貴重な戦争体験記。2022/12/17
chietaro
6
語り部がいなくなる中、大切な内容です。生きた証です。見たままありのままという感じがします。だからアンパンマンが生まれたと思いました。2024/05/31