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内容説明
徳川日本は、明るくも暗くもなかった、と西尾幹二は言ったが、その通りであろう。時代は誰にとってもいちようではありえない。富豪にはいい時代でも、下層民にはいい時代ではない。徳川時代はそういう意味で、人によって違う時代だったが、とかく人はどちらかに片付けたがるものらしい。そう簡単に片付くものではない徳川時代について、私の知る範囲で語ってみたい。(本文より)
不都合な徳川時代の真実とは。小林秀雄が「紫式部」ではなく「本居宣長」を書いた本当の理由とは。徳川時代について、歴史小説や舞台、大河ドラマ、時代劇などもとりあげて様々な角度から考察する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
たくろうそっくりおじさん・寺
50
小谷野敦による随談風徳川時代史。古くからの小谷野読者には、聞き慣れた文句も多いのだが、それでもやはり、忌憚のない意見が活発な江戸時代史というのは面白い。一見薄い本だが、活字が少し小さめなので、結構盛りだくさんである。巻末にオマケとして、林不忘(牧逸馬、『丹下左膳』の作者)による短編歴史小説『日本義民伝 生田萬』が掲載してあって嬉しかった。同時期に乱を起こした大塩平八郎を扱ったものは森鴎外の小説や伊賀和洋の漫画などあるが、生田萬が主人公のフィクションはこれぐらいではなかろうか?。面白かった。お薦めします。2022/12/06
hasegawa noboru
21
江戸時代に関する文化事象が幅広く網羅され、その蘊蓄が披瀝されている。<時代は誰にとってもいちようではありえない。富豪にはいい時代でも、下層民にはいい時代ではない。徳川時代はそういう意味で、人によって違う時代だったが、とかく人はどちらかに片付けたがるものらしい。><過去美化をする人というのは、その過去における恵まれた人の立場でものを考える傾向があるので、認知の歪みが生じているということである。>という至極もっともな考え方に立つ、書き下ろしエッセイ。表題をテーマに、論じられている評論というのではない。2022/12/03
軍縮地球市民shinshin
19
小谷野敦の本を読むのは久しぶりだ。内容は江戸時代に関する小谷野のとりとめのない話を活字にした、というだけのもので、まぁ読んでいて肩は凝らない。巻末に生田萬の乱を取り扱った林不忘の短編が掲載されていて、1933年発表というが、結構左翼臭が強いなぁと感じた。封建権力によって弾圧されていた民衆が耐え切れずに農具を武器にして代官所を襲撃する、絵に描いたような戦後日本人のリベサヨが夢想している「百姓一揆像」ではないか。昭和初期は右派も決起を呼びかけていたし、その目的も財閥を打倒し苦しむ農民を助けるというものだった。2023/02/19
出世八五郎
17
著者の名に記憶があり、以前、読んだ著書で脱線雑談ばかりの記憶が甦った。 案の定、本書各章ごとにタイトルがあっても、それについて1行か2,3行述べたあと以降は延々と著者の雑談余話が語られる。辛辣だが博識なので知識は増えるし面白い。まず序文がよく、渡辺京二『逝きし世の面影』を世紀の愚書と酷評する。世間では絶賛され私も、もし一冊選べ♪と言われたら、是を選ぶ。その良書を著者は酷評する。それも本書の題名と被るが,確かに著者の言う通りで今が一番いい時代だが、ノスタルジー、サヴダージに浸るのも許されよ♪とも思う。2025/07/05
スプリント
11
徳川時代がどのような時代だったのか。 史料だけでなく時代劇や歴史小説、大河ドラマなども取り上げながら考察。 著者のウンチクの披露の割が多い。2025/12/07




