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内容説明
「大破局」を描いた作家小松左京は、夢の大阪万博に何を見たのか。 モンゴルの草原に憧れた司馬遼太郎のロマンと、本質的悲劇とは。笠智衆を選んだ名匠小津安二郎。その静かなる戦いと、いつかくる「最後の五分」に込めた知られざる覚悟とは……。鮮やかな着眼で巨匠たちの思考を読み解きつつ、日本の過去・現在・未来を浮かび上がらせていく。この国の大きな断面を明らかにする画期的評論!(解説・先崎彰容)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ばんだねいっぺい
25
タイトルの3人の目線を通じて、日本の、日本人の姿を描写する。2023/02/07
T. Tokunaga
4
この、どうやらかなり感傷的と思われる著者は、また彼自身の国粋主義(ナショナリズムではない)への感傷的なはけ口を、三人の創作者に見出したものとみえる。ただ、わたしがこの本を手に取った最大の動機「司馬遼太郎はなぜあんなに改行ばかりするのか」と「小津安二郎は新劇とどう付き合っていたのか」はわからずじまいである。2023/10/30
こうじ
3
司馬遼太郎についての捉え方が面白かった。また、読み終えて、小津安二郎の映画を観たくなりました(鑑賞したのは、今まで1本のみ)。 著者は私と同年代ですが、それにしても、小松左京、司馬遼太郎、小津安二郎の作品を深く読まれているなとおもいました。2023/04/28
Hotspur
2
①核融合発電と未来のエネルギー供給への楽観を基軸に小松左京を論じ、②騎馬民族と海洋民族への親近を基軸に司馬遼太郎を論じ、そして③従軍体験に発する「持久戦での我慢」を基軸に小津安二郎を論ずる。著者の「あとがきに代えて」で、この三人を並べたフレームワークの意図(未来・過去・現在)がやっと明らかになる。ただ、この各論である三人の分析の濃淡や分析対象との距離感がややバランスを欠いているように思われるのと、そもそも「あとがき」で説明された著者の意図が実現されているかどうかに疑問が残る点、すこし残念。2024/07/30
kunchan
1
三人の巨匠を現在、過去、未来に配して語る日本論。発想、構成が素晴らしい。司馬遼太郎のパート、少し冗漫ではあるが納得の分析。少し前に別の方の司馬遼太郎論を読んで、不満に感じていたが、本作は胸をすく視点だと感じた。吉川英治より、大佛次郎、海音寺より読み継がれている、そして保守層からも革新陣営からも評価され続けてる司馬の特殊な立ち位置の解明にもっとも近づいた論考ではないだろうか。2023/04/18