構造としての語り・増補版

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構造としての語り・増補版

  • 著者名:小森陽一
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  • 青弓社(2022/12発売)
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  • ISBN:9784787292377

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内容説明

文学作品の作者とは何者であり、読者とは、また何者なのか。
〈作者〉と〈読者〉の相互作用としての〈書く〉ことと〈読む〉ことを捉え返すことを通じて、エクリチュール(文字表現)の文字の連なりのなかに埋もれた意味やイメージをたどる。近代文学研究の泰斗のデビュー作を増補して復刊。

宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』を呼び水にして、近代小説を築き上げた二葉亭四迷の『浮雲』や坪内逍遥『小説神髄』、森鴎外『舞姫』、夏目漱石『坊っちゃん』、さらには横光利一『蝿』、にいたるまでのさまざまな作品を、クリステヴァやボードリヤール、バルトらの文学論も援用しながら多元的で重層的に読み込み、近代日本文学の〈語りの構造〉を解明する記念碑的な論文集。

目次

第1部 構造としての語り

第1章 近代小説と〈語り〉
 1 小説言説(ルビ:ディスクール)の生成

第2章 近代的〈語り〉の発生
 1 葛藤体としての〈語り〉――『浮雲』の地の文
 2 〈語り〉の空白/〈読者〉の位置――他者の原像
 3 物語(ルビ:ストーリー)の展開と頓挫――『浮雲』の中絶と〈語り〉の宿命

第3章 〈人称〉と〈語り〉の主体
 1 視点と〈語り〉の審級――明治初期翻訳文学での自然と文体
 2 〈記述〉する「実境」中継者の一人称――森田思軒の「周密体」の成立
 3 〈語る〉一人称/〈記述〉する一人称――一八九〇年前後(明治二十年代)一人称小説の諸相
 4 〈語り〉と物語の構成――構成論の時代/四迷・忍月・思軒・鴎外

第4章 〈書く〉ことと〈語る〉ことの間で
 1 『坊っちやん』の〈語り〉の構造――裏表のある言葉
 2 『心』での反転する〈手記〉――空白と意味の生成

第5章 〈語る〉ことから〈書く〉ことへ
 1 『蝿』の映画性――流動する〈記号〉/イメージの生成
 2 エクリチュールの時空――相対性理論と文学
 3 文字・身体・象徴交換――流動体としてのテクスト『上海』

初出一覧

あとがき

増補 百年目の『こころ』――言葉の時差のサスペンス
 1 百年目の『こころ』――言葉の時差のサスペンス

増補版あとがき

解題 「歴史の詩学」を求めて  林少陽