内容説明
アニメ・漫画・映画・文学にも大きな影響を与え続けるライトノベル。ラノベの過去から現在までを押さえたうえで、ジャンルを越境するラノベの可能性やより深い作品読解を大胆に提示する。海外ラノベ事情を紹介するコラムや年表も所収するラノベ研究入門書。
目次
はじめに 一柳廣孝
第1部 ライトノベルの過去と現在
キャラクターの神話――ゼロ年代ライトノベルの可能性 大橋崇行
1 キャラクター化する一般文芸
2 東川篤哉『謎解きはディナーのあとで』の表現とキャラクター像
3 入間人間『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』における「嘘」
4 キャラクターの神話
5 「データベース理論」を越えるライトノベル
「ラノベらしさ」と「世界」と「趣向」――ジャンル小説として読むライトノベル 飯倉義之
1 ラノベ、「享受」と「研究」の溝
2 「ラノベ論に適さない」ラノベ――日日日『狂乱家族日記』
3 「世界」と「趣向」と「ラノベ性」
4 エンタテインメントの常道としての〈世界〉と〈趣向〉の組み合わせ
ライトノベル史再考――『聖エルザクルセイダーズ』に見る黎明期の様相から 山中智省
1 一九八〇年代後半から九〇年代初頭は《ファンタジーの時代》?
2 「コンプティーク」発の二作品――『ロードス島戦記』と『聖エルザクルセイダーズ』
3 物語を要求するキャラクターの存在
4 アニメノベライズを経由した「キャラ立ちする」モチーフの摂取
5 ライトノベル史研究のこれから
トラブルとしてのセクシュアリティ――〈男の娘〉表象と少女コミュニティ志向 久米依子
1 制度内存在としての〈男装の麗人〉
2 代替少女型の〈男の娘〉の役割
3 〈男の娘〉とセクシュアルファンタジー
4 少女コミュニティ志向とミサンドリー(男性嫌悪)
コラム ライトノベルの英語翻訳 平石祐哉/太田 睦
第2部 越境するライトノベル
再創造されるライトノベル――橋本紡『半分の月がのぼる空』表現論 大島丈志
1 バージョンとしての『半分の月がのぼる空』――「ライトノベル版」から「一般文芸版」へ
2 「アニソン」から「演歌」へ――饒舌な語り
3 近・現代文学作品の引用とその異同
バカとテストと教育論調――教育への抵抗/再生産される教育 山村亮仁
1 『バカテス』の教育システム
2 教育への抵抗
3 再生産される教育
ライトノベルが「子どもの読み物」になるとき――「児童文庫」をめぐって 犬亦保明
1 「児童文庫」とライトノベルという「ジャンル」
2 「児童文庫」の変遷
3 ライトノベルが児童書になるとき
ライトノベルの錬金術――テキストとイラストが織り成すモザイク 佐藤ちひろ
1 テキストとイラストのモザイク――ライトノベルの基本構成
2 役者と舞台――涼宮ハルヒの増殖、キノが駆ける世界
3 フィルタリングされるテキスト――ハーレム化する電波女、箱庭のグリム
4 変容するテクスト――両輪としてのイラストとテキスト
春来たる死神は幾度もやってくる――桜庭一樹『GOSICK』の復活劇 山口直彦
1 『GOSICK』がたどった道のり――『GOSICK』の誕生から中断まで
2 小説版GOSICKの変遷
3 アニメ化
コラム 韓国のライトノベル受容過程とその特徴 田泰昊
コラム 台湾・中国の軽小説 太田 睦
第3部 ライトノベルを読む
キャラクターとしての都市伝説――『あなたの街の都市伝鬼!』を中心に 一柳廣孝
ほか
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いちろく
Takayuki Oohashi
灯
りゅりゅ
七虹