ファン・ホーム ある家族の悲喜劇〈新装版〉

個数:1
紙書籍版価格
¥1,980
  • 電子書籍
  • Reader

ファン・ホーム ある家族の悲喜劇〈新装版〉

  • ISBN:9784796877114

ファイル: /

内容説明

『ニューヨークタイムズ』『タイム』など数々のメディアがその年のベストブックと絶賛! セクシャルマイノリティとして、文学を愛する者として、共感を覚えながらもすれちがい続けた父と娘。互いをつなぐ微かな糸を、繊細にして静謐な筆致でたどる、ある家族の喪失と再生の物語。

ペンシルベニア州の片田舎で葬儀屋を営む家庭の長女として育てられたアリソン。英語教師として働きながら自らの耽美的な世界にひきこもる父親とは、互いに関心を持たないまま冷淡な関係が続いていた。やがて大学生になり、自分がレズビアンであることを自覚しカミングアウトしたアリソンは、父もまた自分と同じ同性愛者であることを知る。その事実を知って数週間後、自殺とも言えるような事故によって父親が死んだ。 いったい私は、父の何を知っていたと言えるのだろう――?

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

まふ

109
「LGBT同士の父娘」の家族間の葛藤とわかり合いというテーマを、純文学ならぬ「純漫画(造語)」により掘り下げた特異なマンガ作品。作者がレズであること、その父親がゲイであることから実話に近く、迫力十分である。その内容の好悪は別にして、この作品のマンガでの表現について考えると、多少吹き出しや文章での説明が長くなるにしても(また、微妙なニュアンスはねちっぽい文章表現に劣るとしても)コマごとのキレは文章作品を凌駕し、スッキリかつ画然と表現できるメリットはあるだろう。⇒2024/10/04

アキ

75
2007年アメリカで権威ある漫画賞の一つアイズナー賞を受賞したノンフィクション。父親と私との幼い頃からの関係を自らがつけていた日記から振り返り、44歳で自動車事故で死んだ父親の心の闇を推測する。著者がレズビアンを告げた後だからなのか、父の好んだカミュと同じ自動車事故だったのはそもそも事故なのか、フィッツジェラルドと同じ歳で死んだのは虚構からの破綻なのか、父がホモセクシャルで庭師と不倫をしていた事実や妻との関係の破綻も関係していたからなのか?娘が父と同じ歳になり、7年かけ父の読んだ本から解き明かそうとする。2020/09/20

天の川

49
漫画・コマへの詳細コメント・日記で構成され著者の自伝。1980年に自殺した父は高校教師兼葬儀屋で、ゲイであることを(性的関係を持ちつつ)娘に隠して生きていた。理想の家を偏執狂的に作り上げ、文学をこよなく愛し…そんな父への追憶と分析。機能不全家庭で育った彼女も同性愛者で、同じ文学を好む父娘は文学を通して会話するようになるがわかりあうことはない。娘のカミングアウト、父の過去の告白…その後の会話はなく彼は逝った。文学を通して父を分析・理解しようとする彼女の行為は、自らを再発見する行為に等しかったのではないか。⇒2022/10/25

モルテン

11
アメリカの小さな町の父と娘の物語。性的マイノリティであり文学への造詣が深いという共通点のある2人の人生の歩みを、娘は自身の視点から描き出す。父は癇癪もちで一風変っていて秘密を抱えており、決して良い「父親」ではなかった。娘が幼い頃の思い出では、その「良い父親」ではなかった父の姿が印象的で、アメリカで父親をやるのは相当難しいのだなという感想を持ったが、後半、娘が自らのセクシュアリティを自覚し文学を好むようになってお互い対等な人間のように接することができるようになってからは、こういう父親の在り方もあるのだと→2021/04/27

jamko

9
昨年末にこのグラフィック・ノベルが復刊されることが一部TLで話題になってたので知らなかったけど買ってみたんだけど、予想外に時間がかかってしまった。トルストイ、ウンベルト・エーコ、フィッツジェラルド、ジョイス、プルースト、共通の趣味である文学から様々に引用しながら、レズビアンである著者がバイセクシャルであった父親を家族としての記憶と重ねながら考察する内容はなかなかに難解だ。時系列が前後することもあり、私自身も何度も戻って読み返し、ということを繰り返しながら読んだ。これからもまた何度でも読むんだと思う。2018/01/11

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/12381157
  • ご注意事項

最近チェックした商品