河出文庫<br> インドへの道

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河出文庫
インドへの道

  • ISBN:9784309467672

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内容説明

大英帝国統治下のインドの地方都市を舞台に、多様な登場人物の理解と無理解を緻密に描き、人種や宗教、東洋と西洋、支配と非支配といった文化的対立を、壮大なスケールで示した不朽の名作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

366
物語の舞台はガンジス川に臨むチャンドラポアの町。時は1920年代。インドは未だイギリスの植民地であった。したがって、支配ー被支配の関係にありつつも、そこはそれなりの安定を保ってはいた。この均衡に風穴を開けるのがイギリスからやってきたアデラである。彼女を軸に物語は進む(もちろん、そんなに単線的な構造をとってはいないが)。本書の優れている点は、東西文明、あるいは価値観の対立といったステレオタイプ(けっしてそれがないというわけではない)に堕すことなく、個々の登場人物たちの持つ複雑さをも描き出したことにある。⇒2023/07/15

ショースケ

144
この大作を読み終え、感想を書くのに時間がかかった。大英帝国植民地時代のインドのチャンドラポアの町が舞台。その頃その町はまだ貧しく優雅なイギリス人居留地との違いがわかる。 インドの若き青年医師アジズが、インドをよく知ろうとする女性アデラ、ムア夫人をマラバー洞窟に招待するが、あらぬ事件が起こり裁判沙汰となる。インドに好感を持つイギリス人フィールディングとの友情や、英国との軋轢、宗教の違いによるすれ違い…アジズの心の葛藤が読みとれる。文章は難解だったが、その時代のインドをフォースターは愛情込めて書いている2023/06/24

ケイトKATE

33
異なる世界に生まれた者たちは分かり合えるのだろうか。主人公アジズはイギリス植民地下のインドで医師として働いていた。もう一人の主人公フィールディングはインドで学校の校長を務めていた。西洋列強の植民地支配が続いていた20世紀前半、二人とも当時としては進歩的な思想を持ち友情を深めていた。ところが、事件の容疑者としてアジズが逮捕されたことがきっかけで、二人の友情に暗い影が差し込む。異なる人間同士どこかで対立してしまう。分かり合うには、お互いの違いを認め合い対話し続けることである。深い問題を掘り下げた傑作である。2022/11/04

星落秋風五丈原

32
【ガーディアン必読1000冊】最初からアジズを擁護するフィールディングとムア夫人、味方をしない母に一気通りすら感じるロニー、フィールディングの態度に怒り心頭になったかと思えば、手のひら返しでクラブに迎える現地英国人。『モーリス』では、愛があっても性別や社会的立場の違いによって隔てられていく男性達が描かれた。本編では更に、国、文化、人種、宗教、支配、被支配といった様々な相違が登場する。それらによって生じる様々な分断を乗り越え、人は理解し合うことは可能なのか。これは現代に通じるテーマでもある。2024/01/25

まこ

12
冒頭からインドとイギリスの価値観や考えの違いからくる見下しやマウント。主人公のアジズすら、インド人の上流層としてその感情が目立つ。そこへアデラの個人の悩みからくる事件も合わさって、インド人とイギリス人は理解し合えるのか疑問出てくる。水や音の描写が多く、絶えず変化を続ける、お互いの感情も一筋縄ではいかない。2023/08/23

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