内容説明
「悪」は排除するべきものではない。悪と善は相対的なものに過ぎない。大事なのは、総体としての生身の人間の中に「悪」を正しく位置づけることだ。罪を犯し、非行に走った少年であっても、「悪」を正しくその子の中に位置づけてやれば、それは人生をプラスの方向に導くためのエネルギーともなるのだ――。家庭裁判所調査官として、数百人の非行少年を更生に導いてきた著者が説く「悪理学」。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タルシル📖ヨムノスキー
25
元・家庭裁判所調査官の著者が、様々な経験から、「青少年と悪」について解説した本。大切なことは悪を排除したり、力で押さえつけるのではなく、誰にでもある「悪」の感情を認め、その上でどう折り合いをつけていくかということ。そして幼少期の遊びの中で、良いことも悪いことも含めて、たくさんの経験をさせることが重要だということ。特に興味を引いたのが、青少年と悪の関係について、家の間取りという視点から分析している点。特に家族の在り方の変化を、まさか「サザエさん」の磯野家と「クレヨンしんちゃん」の野原家の間取りで比べるとは。2023/10/07
タナカとダイアローグ
10
図書館本。家庭裁判所調査官という縁遠い経験者が語る悪者のいなさ。特定の悪者にアプローチせず、そもそも円環的認識で原因①の結果が結果① 一方、結果①=原因②であり、結果②=原因①(夫婦関係の例)は身に沁みた。3人以上関係があればより複雑な原因=結果で解きほぐすのは無理。司法と臨床と学校の視点の違いや、罰と更生に関すること、権威と権力の使い方など現場のヒントになるような内容。間取りと犯罪の関係はサンプルが少なくてほんとかな?と思う。建売住宅の間取りはほぼ子供部屋に直行できる故、非行少年だらけになるのではと。2023/08/01
ray
4
☆4 非行少年は抑圧された家族関係から生み出される。凶悪化しているのではなく、凶悪化させられているというのが正しい。時代で強い者への抵抗から弱い者への攻撃へと変化。乳児期から青年期までの攻撃性への対処の仕方。親がしつけとして暴力→逃げるため非行→親が暴力→非行…の悪循環。多世代で繰り返される。問題のある家族関係→隔絶された間取り→非行へ。補導委託先で温かい人間関係を初めて知った傷害事件の少年。環境によってこんなにも変わるという驚きと、それまでの環境に同情する。非行化させられているという言葉の本質がわかる。2023/03/11
アネモネ
1
色々な事例で、分かりやすく教えを進められた。2023/04/23
Hundley
0
まさか司法関係者の方が著者だと思わず、子供への接し方の意味で手にとってみた。でも結局、司法でも家庭でも、基本の考え方は同じなんだろうと思った。やめなさい、とかは効果がない話もすごい納得。2024/06/16
-
- 電子書籍
- 桜蘭高校ホスト部(クラブ)~とっておき…