ちくま学芸文庫<br> 東方キリスト教の世界

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ちくま学芸文庫
東方キリスト教の世界

  • 著者名:森安達也【著者】
  • 価格 ¥1,320(本体¥1,200)
  • 筑摩書房(2022/12発売)
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  • ISBN:9784480511409

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内容説明

東方キリスト教は、ロシア正教など東ヨーロッパを中心に広がる東方正教会や、主に中東で広まった東方諸教会などを包括するものである。使用言語も多岐にわたりその歴史も複雑なため、日本語での情報は限定されてきた。本書はそうしたなかで、長らく基本情報を提供してきた名著だ。西洋古典学・ビザンツ学・スラヴ文献学の横断的研究で傑出した業績を残した研究者が、東方キリスト教全体を扱いつつも、教義や歴史にとどまらず、巡礼・神秘思想・教会建築・イコン・天国/地獄表象など幅広く信仰文化にまで踏み込む。

目次

I/東方キリスト教の世界/東方キリスト教とは 東方キリスト教の坩堝 東方キリスト教の典礼と典礼用語 東方正教会ということば ローマとコンスタンティノープル 東方正教会の成立 東方正教会の発展 東方正教会の現状/東方正教会における旧約正典をめぐって/1 ジュジーの史的研究の概観/2 教会規則の有効性/3 正典とは何か/ビザンツ帝国における教養と信仰/ビザンツ帝国の範囲 教育思想研究のむずかしさ 教育理念──ギリシア古典の尊重 ラテン的教養の喪失とビザンツ的価値観 キリスト教との相剋 バシレイオスと古典教養 ビザンツ教会の特殊性 制度としての総主教制 修道院の役割 総主教の官僚化 修道生活の理念 テオドロスの修道院改革 修道士とパイデイア パライオロゴス朝ルネサンス/東方正教会の神秘思想──ヘシュカスモス論争をめぐって/パライオロゴス朝のビザンツ帝国 バルラアムの告発 ヘシュカスモスの伝統 グレゴリオス・パラマスとヘシュカスモス 神のエネルゲイア エピローグ/巡礼と東方教会/キリスト教巡礼の起源 「真の十字架」伝説 エルサレムの復興と巡礼 巡礼の定義から ラテン語の「巡礼」 ギリシア語の「巡礼」 近代の巡礼──西ヨーロッパの場合 聖遺物のおこり 聖遺物崇拝の拡大 聖クレメンスの遺骸 コンスタンティノープルの地位向上 聖遺物の宝庫 クラビーホのみた聖遺物/十字軍と東方教会/東西両教会の分離からクレルモン会議まで 十字軍と東方正教会 十字軍と他の東方教会(アルメニア教会 マロン派教会 ヤコブ派教会 コプト教会)/イコノスタシスの空間表現/イコノスタシスとは イコンの配列 イコノスタシスの成立 固定化と影響 シンメトリーの問題 上下の均衡/ボスニア教会をめぐって/1 ボスニアの地理的範囲と略史/2 ボスニア教会とは──一般的見解/3 一般的見解をめぐる問題/4 ダルマツィアとボスニアの情勢/5 ボスニア教会の消長/6 結語にかえて/カトリック的スラヴ圏と正教的スラヴ圏のはざま──ポーランドとウクライナの宗教問題/1 版図の拡大と正教圏の編入/2 最初の教会合同の試み/3 宗教改革と対抗改革/4 ブレストの合同/童貞聖マリアと生神女──ポーランドにおけるマリア信仰と東方的要素/キリスト教におけるマリア信仰 東方正教会におけるマリア信仰の特徴 ポーランドにおけるマリア信仰/II/天国の形象/旧約偽典とは 二つのエノク書 自然現象・堕天使 楽園 太陽と月の運行 第七天 地上への帰還/地獄の形象/仏教の地獄思想 地獄思想のおこり キリスト教の地獄と黄泉 神学の所産としての煉獄 地獄図の役割 キリストの黄泉降り/正統と異端のあいだで/宗教の活力──奇蹟 異端審問の役割 正統と異端 古代の異端 アリウスとネストリウス 中世の二元論的異端 ボゴミル派 コンスタンティノープルのボゴミル派/ロシアとキリスト教/天地創造から同時代まで 神は人々とともにおられ イコンの美 典礼と教会音楽/ロシア宣教一〇〇〇年を迎えて/「宣教一〇〇〇年」は正しいか キリスト教の定着と体制化 反動の砦と化した正教会 ロシア革命と激しい宗教迫害 国家主導の共存関係 ロシア正教会の現在 正教会とペレストロイカ/日本人とギリシア正教/初出一覧/あとがき/文庫版解説 「人間の顔をしたキリスト教」を求めて 浜田華練/索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Francis

15
東方キリスト教会、カトリックの私から言えばカトリック、プロテスタント派からなる西方キリスト教会以外の教会、と言う事になります。著者がスラブ学者なので、どうしても記述がギリシャ語を典礼語として用いる正教会(オーソドックス)中心になってしまうのはやむを得ないでしょう。とは言え入門書としてはとても良くまとまっている。イコン、そして東方典礼カトリックが成立した理由の記述はとても有難かった。教派は違っても同じクリスチャン仲間の東方キリスト教会について日本では分かりやすく簡単に手に入る入門書がまだまだ少ないのは残念。2024/04/07

いとう・しんご

14
読友さんきっかけ。なかなか情報の少ない東欧、中東を視野に入れた教会史としては出色の一冊。ロシア・ウクライナの緊張の歴史の他、マリア崇拝やイコン、ロシアの教会音楽など幅広い話題が取り上げられている。しかし、解説者も言うとおり、登場するのはマリアとエバと数名の王族の女性を除くと男性ばかりで、キリスト教全体における大きな課題を示唆していると思いながら読みました。キリスト者にはお奨めです。2023/01/24

maqiso

7
東方には正教会といくつかの諸教会が存在している。十字軍がラテン帝国を作ると西方主導の教会合同が画策され、諸教会はカトリックを受け入れるものから拒絶するものまで様々だった。ビザンツの教会では仕切りにイコンがかけられ、ロシアでは教会の大型化ともあいまって聖人や場面の以降を数段に並べるイコノスタシスが発展した。カトリック国のポーランド・リトアニアには多数の正教徒がおり、ドイツ騎士団へ対抗するため宗教的寛容という理念が編み出されたが、宗教改革と対抗改革によって改宗が増えると寛容さはなくなった。話題が色々で難しい。2023/04/28

冬至楼均

1
ソ連崩壊以前の著書なので若干情報が古いのだけれど、入口としては十分。2022/10/22

0
面白かった。東方キリスト教のマニアックな話もよく知らない人でも分かるように書いてある。ひとつだけ、文庫版解説は蛇足。いかにも紋切り型の解説で、こんなもん俺にでも書けるわ、と言いたくなる。2025/01/22

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