内容説明
この国にはもう、抵抗する力がない。
人種差別、AI裁判、民間刑務所、洗脳教育――
俺たちは、求められるようにしか生きられないのか。
2050年。日本の国力は低下し、海外資本が大量に流入。人口も減少し、かつて栄えた都市も今や廃墟と化していた。刑事である谷悠斗は池袋で発生した外国人拉致事件を追ううち、中国資本「未来集団」が経営するカジノに潜入することになる。これが地獄の始まりだった。
不当逮捕された悠斗は民間刑務所に収監される。洗脳とも言える教育の果てに「未来集団」の一員として、日本国土の買収を繰り返すことになる――。
悠斗に、この国に希望はあるのか? 荒廃が待つ未来の中に微かな光を示す傑作長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
161
読む本確保のため、読みました。萩 耿介、初読です。本書は、近未来ディストピアミステリでした。2050年には中国の属国になり、喰われているかも知れません。 https://www.chuko.co.jp/tanko/2022/12/005611.html2023/01/20
rosetta
31
★★★★☆読むと怒りに震えるディストピア小説。2050年、人口減と経済の低下により日本は中国に陰で支配される国になっていた。池袋警察の谷悠斗は行方不明になったベトナム人の捜査を命じられる。それは日本でウイグル人やチベット人を弾圧する中国の暴挙の初手だった。陰謀に嵌り私設刑務所に送られ薬物と暴力で洗脳された谷は、誇りと良心を残しながらも中国の為に働く。日本の土地を買い漁る中国資本。中国共産党と名乗るカルトテロ組織が自分の領土内でやっている事は殆どこの通りなのではないかと思える。存在さえ許せない2023/02/20
ブラックジャケット
16
隣国中国の経済の巨大化はあっという間で、そのガリバーの力はどうふるわれるのだろうか。著者は恐怖のディストピア日本を描いて慄然とする。相対する日本は人口減少で、最低限のインフラの投資もできない。中国共産党は、一党独裁を日本にも及ぼす究極のマウント作戦だった。池袋警察の刑事谷悠斗は、行方不明になったベトナム人青年を探す捜査に加わっていた。犯罪の裏には中国大使館がある。物語の入口こそ悠斗は主体性があったが、教育センターという刑務所から、圧倒的な中国パワーに取り込まれていく。カルト共産主義で列島を飲み込む恐さ。 2023/04/22
turtle
7
中国に絡めとられた2050年以降の日本を描いた恐ろしいお話。ウイグルで行われているおぞましい虐待や虐殺の手法が織り込まれているのでしょうか、読んでいて暗澹たる気分が最後までついて回りました。どんな未来が待っているのやら。2023/08/18
onepei
6
近未来ものというのだろうか 日本が舞台になるとおもしろくもあり、純粋に楽しめなくもある2023/01/15