グローバル・アニメ論 - 身体/アーカイブ/トランスナショナル

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グローバル・アニメ論 - 身体/アーカイブ/トランスナショナル

  • 著者名:石田美紀/キム・ジュニアン
  • 価格 ¥3,080(本体¥2,800)
  • 青弓社(2022/12発売)
  • ポイント 28pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784787274519

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内容説明

いまやグローバル・メディアとして成長したアニメーション。世界の多くの人々にとって、アニメは単なる娯楽にとどまらず、アニメをめぐる、あるいはアニメに触発された学術的知見が着実に蓄積されている。

国内外の研究者が参加した国際会議では、「声」を中心にしたアニメの音響的側面と、アニメ表象の成立に欠かせない絵コンテや原画などの「アニメ中間素材」の物質的側面を主軸に、これまでのアニメ研究では扱っていない領域について野心的な発表と討論を重ねた。

アメリカ、スペイン、台湾、シンガポール、フィリピン、韓国、日本――。各国・各地域のアニメをめぐる状況に、従来の日本のアニメ研究が見過ごしてきた3つの問題意識から迫る。

(1)国を超えて変容する声と映像=国や地域を超えて横断し変容する声と映像の実態を記述し、考察するアプローチ
(2)多様な身体に作用する声と映像=大人から子どもまで、多様な受容者の身体に作用する声と映像の実態を記述し、考察するアプローチ
(3)異なる素材が示すアニメの現場と仕事の形態=アニメ中間素材を物質として保存するだけでなく、時空間を横断する存在としての活用を目指すアプローチ

新しいアプローチの実践を目指す刺激的で国際的なアニメ研究の成果。

目次

第1部 国を超えて変容する声と映像

イントロダクション 石田美紀

第1章 台湾における日本アニメソングと音声の現地化 蔡錦佳
 1 戦後台湾の国家メディア戦略と、日本文化の音声についての認識
 2 華視によるアニメ主題歌制作の特徴――トウ鎮湘の証言
 3 華視によるアニメ吹き替え版制作――羅敏求の証言
 4 今後の課題

第2章 フィリピンにおける日本アニメの現地化とその受容 ジョアンナ・ルイザ・ブエナフロール・オビスポ[平野泉訳]
 1 放送枠の穴埋めから熱狂へ
 2 フィリピンのローカライザー――洞察力と実践
 3 世代によるアニメ受容の差異
 4 結論

第3章 目に見えない存在の意義――スペインにおける日本アニメの吹き替え クラウディア・ボニッロ・フェルナンデス[風間彩香訳]
 1 スペインへのアニメの到来
 2 スペインでのアニメの吹き替え
 3 吹き替えをめぐる検閲と労働契約
 4 スペインでのアニメの吹き替えに対する評価
 5 まとめ――オリジナルにこだわる認識の向こうにあるもの

第4章 アメリカ・クランチロール社と韓国の開発国家的アニメーション ザッカリー・サミュエル・ゴッツマン[宮本裕子訳]
 1 『ゴッド・オブ・ハイスクール』
 2 クランチロール――ファン労働の蓄積
 3 ウェブトゥーンと韓国の「優位性」
 4 結論

第2部 多様な身体に作用する声と映像

イントロダクション 石田美紀

第1章 「トムとジェリー」の声とセリフ 楊思帆
 1 「トムとジェリー」における動物たちの「声」
 2 キャラクターにおける声とキャラクター間の力関係
 3 トムとジェリーの「無口」とスパイクの「大声」
 4 再び「無口」に

第2章 『鬼滅の刃』の音 顔暁暉[平野泉訳]
 1 物語世界内の音と物語世界外の音
 2 『鬼滅』の音の記述と分析
 3 判然としない領域
 4 結論

第3章 音声から再考するロトスコープとライブアクション・レファレンス 萩原由加里
 1 ロトスコープ、そしてライブアクション・レファレンス
 2 プレスコとライブアクション
 3 デジタル化とモーションキャプチャー、プレスコ

第4章 「耳で感じる」快楽――「カセットJUNE」における身体性と官能をめぐる一考察 程斯
 1 少女の分身ではなくなる「少年」
 2 小説『鼓ヶ淵』における聴覚的快楽
 3 「カセットJUNE」と「耳で感じる快楽」
 4 結論――「耳で感じる快楽」の行方

第5章 『風と木の詩』とエロティックな静止――アニメとクィアな身体 エドモン・エルネスト・ディ・アルバン[風間彩香訳]
 1 アニメにおける「クィア」を定義する
 2 『風と木の詩 SANCTUS――聖なるかな』でのエロティックな静止、あるいは身体を超えて精神を動かすこと

第6章 持永只仁の家族アーカイブから読み解く協力者としての子ども観客 ジェーソン・コーディ・ダグラス[宮本裕子訳]
 1 児童観客を協力者にすること
 2 子どもの観客と考えること、子どもの観客について考えること

第3部 多様な素材が示すアニメの現場と仕事の形態

イントロダクション キム・ジュニアン

ほか

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

富士さん

4
国際的、方法的にいろいろなアプローチから見た日本のアニメ論集です。一稿が短く、内容も玉石混交の感があります。しかし、アニメを作る過程で必ず生み出される中間素材についての貴重な証言とそれを使った研究方法の試行が行われている3部は、本書でなければできなかったであろう、独自の成果です。このテーマは、特にアニメ産業に興味がある人にとってはいつか触れなければならないものであるにも関わらず、まったくと言っていいほど研究がなく、存在すら認知されていない部分です。本書に続いて、新しい研究が発表されていって欲しいものです。2023/02/17

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