黒衣の外科医たち

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黒衣の外科医たち

  • ISBN:9784794973443

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内容説明

セルフ手術で結石を取りだした鍛冶屋の男、
無痛分娩の先陣をきったヴィクトリア女王、
とがった器具で痔を切り裂かれたルイ14世……
スプラッターな「試行錯誤」がいまの医術を築いてきた

麻酔はない、消毒もない、手洗いすらない時代。
外科医たちは白衣ではなく、返り血を浴びても目立たないよう黒衣を着ていた。
傷口は水で洗うかわりに焼きごてで焼灼(しょうしゃく)。
出血多量のときこそ瀉血(しゃけつ)。
患者はベッドに押さえつけられ阿鼻叫喚の手術がおこなわれたが、
そこには治療の道を切り開こうと必死に手探りしていた人たちがいた。
驚愕と震撼とユーモアに満ちた、背筋も凍るほど刺激的な一書。

現代に生まれて、ほんとうによかった――

目次
序章 「手」で治す外科医たち

第1章 ある鍛冶屋の男
膀胱を自分で切り裂き摘出――結石

第2章 アブラハムとルイ16世
ペニスを石でしごいて包皮を切りとる――包茎

第3章 エリザベート皇后
心臓を刺されても歩き回れたのはなぜか――血液循環

第4章 インノケンティウス8世・レオ10世・ヨハネ23世
教皇も逃れられない暴食――肥満

第5章 ヨハネ・パウロ2世
人気教皇、銃撃され腸が穴だらけ――人ストーマ工肛門

第6章 ペルシア帝国ダレイオス王
「手術で死んだら、外科医の手を切り落とす」――脱臼

第7章 ジョン・F・ケネディ
世界が見つめる世紀の大解剖――気管

第8章 リー・ハーヴェイ・オズワルド
ケネディと同じ外科医が暗殺者も――手術の限界

第9章 アウストラロピテクス・アファレンシスのルーシー
二足歩行とひきかえに――静脈瘤

第10章 奇術師フーディーニ
水拷問よりも腹パンチよりも――虫垂炎

第11章 ヴィクトリア女王
無痛分娩、歴史が動くとき――麻酔

第12章 大航海時代の貿易商ストイフェサント
砲弾で砕かれた脚はどうなるのか――壊疽(えそ)

第13章 名探偵ポアロとシャーロック・ホームズ
外科医は金星人、内科医は火星人――診断

第14章 イランの元皇帝
一・五リットルの膿を腹に抱えた亡命生活――合併症

第15章 バロック音楽家リュリとボブ・マーリー
足指切断のかわりに失ったもの――播種(はしゅ)

第16章 ローマ帝国執政官
丸々と肥えた軍人には脂肪切除を――開腹手術

第17章 アインシュタイン
天才の血管は破裂寸前――動脈瘤

第18章 内視法の生みの親たち
腹を切り裂くか、鏡を突っ込むか――腹腔鏡手術

第19章 アダム・宦官・カストラート
ペニスを切り落とす10の方法――去勢

第20章 英国王ジョージ6世
イギリス王室とタバコの関係――肺がん

第21章 宇宙飛行士アラン・シェパード
究極のプラセボ治療――瀉血(しゃけつ)

第22章 英国キャロライン王妃
でべそを隠した王妃の壮絶な最期――臍ヘルニア

第23章 イタリア戦争を生き延びた若き医師
自分の傷に指を突っ込み腹腔を学ぶ――鼠径ヘルニア

第24章 19世紀フランスのパン屋
歯科医がつくった機械の肩を埋め込まれた男――人工関節

第25章 レーニン
頭痛、不眠、ノイローゼの指導者――脳卒中

第26章 胃腸をはじめてつなぎ合わせた外科医
ちょっと雑でも高速技なら大丈夫――胃切除

第27章 ルイ14世
とがった器具をさし込み一気に引き抜く――痔

第28章 動物園の獣医
デンキウナギに麻酔をかける――動物の手術

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kinkin

93
古代から現代に至るまでの外科医たちと外科手術についてが全28章紹介されている。外科医というのは病院でも花がという感じがする。テレビでは医療ドラマでもおなじみだ。読んでみると「去勢手術や痔の手術、虫垂炎などの手術も行われていたそうだ。虫垂炎にしても簡単そうだが気を緩めると腹膜炎を起こす大事な手術でもあるということだ・この本に「出てくる手術については参考に人体解剖図を併読することもいいと思った。図書館本2023/03/03

あたびー

43
なぜ黒衣なのか?その昔血飛沫飛び散る手術着の汚れが目立たなくなるように外科医たちは黒い手術着を纏ったのだとか。衛生観念のない昔、血糊でゴワゴワになった手術着が「自立するようになった」と自慢したらしい。そんな、医学の歴史上の様々な外科手術について分かりやすく、恐ろしく、ちょっと専門知識の鳥羽口も見せてくれながら解説したとんでもなく面白い本である。麻酔無しで身の毛もよだつような処置をされる患者の絶叫を聴きながら、現代医学の恩恵にあずかれる我が身の幸運を噛み締めよう。2023/04/30

アカツキ

14
外科医が著名人の手術や面白話を交えながら外科手術の歴史を書いたもの。大きく言って麻酔以前以後という感じ。血がまき散る阿鼻叫喚の地獄絵図が過去のものであることのありがたさよ。歯の麻酔も昔はチクリと痛かったけれど、最近のは無痛。医療の発達はどこまで続くのか、どこが終着点になるのか気になる。また、人だけでなく動物の手術や創作物に登場する医師についても書かれていて、こちらも面白かった。デンキウナギの手術がこんなに大変だとは…。2023/02/09

teddy11015544

9
とんでも本のような題名でしたが、内容は外科手術の開拓の歴史。とんでもないやつもいれば先見の明がある人もいた。WBCのせいで大幅に読書時間が削られておりましたので久々の更新になりました。2023/03/17

£‥±±

8
 現役のオランダ人外科医による外科の歴史を著名人の受けた手術や外科的症例を上げて実に面白く語ってくれる。  割礼と、様々な去勢の方法を述べた章は読んでいて股の付け根がズキズキして来た。  スピードが重視されていた時期の荒っぽい切断術の描写は予想以上だった。  個人的には真の開腹手術を誰がいつ始めたかが分かったのが一番の収穫だった。  患者達が余りの苦痛に死んでも良い、またはどうせ助からないのならイチかバチかで手術を受ける例が多いのには、当然とは言え言葉を失った。  武士の切腹を野蛮などと良く言えたものだ 2023/04/10

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