内容説明
轢き逃げの通報を受け、臨場した北海道警察本部大通署機動捜査隊の津久井卓は、事故ではなく事件の可能性があることを現場で知る。それは被害者が拉致・暴行された後に撥ねられた可能性が高いからだった。その頃、生活安全課少年係の小島百合は、駅前交番で保護された、九歳の女の子を引き取りに向かう。その子は、旭川の先の町から札幌駅まで父親に会いたいと出てきたようだった。一方、脳梗塞で倒れた父を引き取るために百合と別れた佐伯宏一は、仕事と介護の両立に戸惑っていた。そんな佐伯に弁護士事務所荒らしの事案が舞い込む……。それぞれの事件がひとつに収束していく時、隠されてきた闇が暴かれていく――。コロナ禍に見舞われながらも懸命に生きる人々を鮮やかに描く、心に残る傑作警察小説!大ベストセラー道警シリーズ、最新作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
229
佐々木 譲は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。10作目となる道警シリーズも読み続けています。 コロナ禍の北海道を舞台にした警察小説、安定の面白さでした。 http://www.kadokawaharuki.co.jp/book/detail/detail.php?no=69112023/02/08
いつでも母さん
156
『遊軍の刑事にも意地がある。』この帯でピンと来てグッと来る。そうですよ、道警シリーズ久々の最新刊!佐々木作家にはこのシリーズをずっとお願いしたい。佐伯と津久井と小島が取り組む別々の事件のはずが、どっこい繋がって見事に着地を決める顛末。派手さはない。なのに心情すらも伝わるこの面々が好きだ(佐伯の相棒・新宮もだ)佐伯と小島百合のその後が気になっていたが、そうか・・そうなってしまっていたか・・だがいつかきっと‥(←私は応援したいのよ)2023/01/16
タイ子
124
久し振りの道警シリーズ。記憶力に自信がなかったが、読むうちにあれこれと思い出した。そうそう、佐伯は父親の介護のために百合と別れたんだったなとか。でも、2人が警察官同士としてこだわりないことに安堵。今作は拉致、轢き逃げ事件を発端に起こる山林伐採、詐欺事件。詐欺に関わるクズ野郎どもに胸糞が悪くなる。こんなヤツラを相手に警察官も大変だなぁとしみじみ思ってしまう。後半、たたみかけるように刑事たちの追い込みが描かれるところは面白い。まだまだ続けて欲しい道警シリーズ。刑事たちにも束の間の休息を願ってしまう。2023/02/02
ALATA
118
久々の道警シリーズ、気がつけば何巻も出ている模様。コロナ禍に見舞われた札幌すすき野、歓楽街で起こる誘拐拉致事件、事務所荒らしが微妙に絡み合い樹林の迷宮へ誘われる。冒頭のデリ嬢窃盗事件の顛末が面白くて、佐伯さん相変わらずいい味だしてます。本線から外され、遊軍扱いで独断専行する捜査が本部を出し抜いてしまうあたりは痛快でした★4※百合と別れた佐伯宏一は・・・、エッ⁉付き合ってたの?間が飛んでいるので少し遡って読まなければ・・・2023/12/28
おしゃべりメガネ
111
『道警・大通警察署』シリーズ第10弾。前作から3年のブランクを経て手に取りました。世の中がちょうどコロナに見舞われたトキで、描写も常にマスク、マスクと書かれています。主人公「佐伯」は脳梗塞を患った父親を引き取るために恋人「百合」と別れ、静かに暮らしていました。そんな中、とある弁護士事務所が荒らされた事件が発生し、別の場所では不審な轢き逃げ事件が。チーム『佐伯』はバラバラになりながらも、やはりチームワークは健在で、事件解決に向けて動き出したトキのスピード感はサイコーです。新米だった「新宮」成長してるなぁ。2024/02/29