内容説明
異形のモノと人は本当に愛しあえるのか。「べにばらホテルのお客」など、恋人たちの情熱と悲しみを描いた中編5編とエッセイ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶんこ
41
人と動物との愛情物語が短編となって綴られていました。安房さんの手になると違和感が消えてロマンチックとなる不思議。森と動物がお好きだからなのでしょうか。特にジャム屋さんの話が好きです。ラベルを見ていると森の中にいるような気持ちになるなんて素敵。最後のホテルを切り盛りするキツネさんと北村さんの一途な愛を応援する作家の(わたし)に安房さんを重ねて微笑ましくなりました。最後に軽井沢がお好きと書かれていて、これらの物語が生み出された地なのでしょうか。2019/04/22
うめ
17
小鳥のために、バラの花びらでベッドを作る。想像して転げました。敷き詰められた花びらの上に、ちまり、と乗った小鳥。萌え転げ。美しい鹿が印象的。美味しいジャムと、バウムクーヘンが食べたくなりました。相変わらず、巻末のエッセイも素敵。2015/04/20
りるふぃー
10
内気な女性が、原稿用紙の中で思いっきり心の中を解放して、才能を開花させている…それが安房さんの作品のように思います。巻末のエッセイがまた、一つの童話のようです。安房さんが亡くなられていることが信じられない位に、生き生きと身近に感じられてきました。 安房さん節のようなフレーズや、法則があるのですが、それを見つけると心地よいという、すっかり安房さんの文章の魔法に魅了されている自分です。 2018/04/13
マツユキ
9
Twitterで紹介されていた『熊の火』が読みたくて、借りてきた安房直子コレクション。『天の鹿』、『熊の火』、『あるジャム屋の話』、『鳥にさらわられた娘』、『べにばらホテルのお客』そしてエッセイを収録。動物たちが喋ったり、人間が動物になったり、愛し合ったり。誰と生きるか。メルヘンなんですが、生きているもの同士共通する寂しさが、どの作品にもあると感じました。そして、意外と我が儘な女の子が多い。『べにばなホテルへようこそ』も意外。エッセイも読めるし、全七巻を、紅茶とジャムを用意して、読みたいです。2019/10/08
ミルチ
9
安房直子さんは初めて読みました。鹿やシギやキツネなどの動物と人間との恋。静かで優しくでも妖しいファンタジー。個人的には天の鹿、鳥にさらわれた娘などちょっと怖い話が好きでした。べにばらホテルのお客さまはちょっと異質だけどキツネと女性作家の恋のバトルが可愛かった。2015/01/29