内容説明
あなたが本を読んでいるとき、居眠りをしているあなたも同時に存在している! SFとしか思えない世界が、なぜ合理的と考えられるのかを、平易なロジックだけで解説。量子力学で最もエキサイティングな解釈問題について、一般向けに書かれた決定版!
目次
第1章 原子の世界
第2章 量子力学の誕生
第3章 光は波か粒子か
第4章 波の収縮と確率――コペンハーゲン解釈
第5章 状態の共存から多世界解釈へ
第6章 同時進行する複数の状態
第7章 ボーア=アインシュタイン論争からエンタングルメントへ
第8章 光子の干渉実験
第9章 デコヒーレンス─ 干渉性の喪失
第10章 世界の分岐
第11章 確率則
第12章 多世界解釈の世界像
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
90
少しは物理や化学の世界を理解できると手に取ったのはいいのですが、難しすぎです。やはり昔の高校の知識くらいでは理解が追い付きません。最初の方の「「原子の世界」「量子力学の誕生」「光は波か粒子か」くらいまでは理解できましたが、そのあとはだめでした。もう少しやさしい本で勉強してから再読します。2024/12/11
へくとぱすかる
64
量子もつれ・エンタングルメントのもっとも不思議なことは、「超光速」の出現。そして有名な「シュレーディンガーの猫」。しかしこれを世界の分裂としてとらえれば不思議は消える(らしい)。易しい文章でわかりやすく書かれているので、何とか私でも読み終わることができた。このテーマの入門書としてイチオシ。とは言ってもイメージ化はむずかしい。波でもあり粒子でもあり、という日常の感覚からすごく遠い存在は、結局は抽象的にとらえるしかないのかもしれない。それに比べると多世界解釈というのは、SF的なだけに比較的納得しやすいと思う。2023/01/19
樋口佳之
51
あくまでも粒子を「実在」とみる考え方が、多世界解釈の根本にある。/故にわかる範囲で、この解釈に惹かれる自分がいると思うのですが、この解釈では世界の唯一性が消失するでしょう。それを受け入れるかどうかなのかな。2023/04/20
石油監査人
36
題名の多世界解釈とは、量子力学の観測問題における解釈方法の一つで、 宇宙には観測者も含めた複数の世界が分岐して存在するという実存論の考え方に基づきます。一方、標準理論であるコペンハーゲン解釈では、観測によって波動関数の波束の収縮が発生するという確率論の立場を取ります。この本では、多世界解釈の立場で量子力学に関する各種のパラドックスや実験結果を考察していきます。直感による理解は難しい内容ですが、他の文献を参考にしながら繰り返し読むことで理解しました。現代が物理のコペルニクス的転換期にある可能性を感じます。2025/02/01
haruka
24
量子力学にはコペンハーゲン解釈と多世界解釈がある。コペンハーゲン解釈では何かを観察した瞬間に波の収縮が起こり世界がひとつになる。そして多世界解釈とは「そんなバカな、それだと量子もつれが起こる!だいたい収束っていつの時点?人間が観察した瞬間て!シュレーディンガーの猫を見た人の隣にまだ猫を見ていない知人がいたら?」などと反論していた人たちが見つけた「きわめて自然な」解釈なのだ。多世界が今この瞬間にも無数に存在するというとSF的だが、人間を特別視せず人間の価値観とも相容れない時点でこちらがきっと地動説なのでは2023/05/17